「EUとの離婚」で最も割を食うのは誰なのか 離脱マシンと化した英政府にはわかるまい

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英議会の前で「EU離脱」反対デモに参加する人々(写真:Hannah McKay)

欧州連合(EU)からの離脱交渉を正式に始めるにあたって、テリーザ・メイ英首相は「離婚」という言葉を使おうとしなかった。確かに、われわれが出ていこうとしている「家」は、家族の歴史や思い出が詰まっていて、今後の経済的な利害ともかかわっている。その意味で、完全な別れなど現実にはありえない。

英国は一部で考えるほど孤立した島国ではない。今の王室はドイツ系だし、輸出は圧倒的にEU向けだ。英国は西欧の発展とともに形作られてきた。われわれを隔てるドーバー海峡はわずか33キロメートルしかない。

離脱マシン化したメイ政権

では、なぜ離脱なのか。経済から移民問題に至るまで、主要課題にまるで解決策を見いだせないEUにわれわれはうんざりしていたのだ。

EU離脱の国民投票を行ったこと自体が間違いだった。議会制民主主義は、このような大衆迎合的な手法に頼るべきではない。メイ首相は自身が残留派だったにもかかわらず、政権は離脱マシンと化し、今や「離脱か破滅か」がモットーだ。残念ながら、その両方が現実となるだろう。

英国の輸出の半分近くがEU向けだと知りながら、われわれはEU統一市場に見切りをつける。単一市場にとどまれば、EU法の制約を受け、労働者に移動の自由を認めねばならない。英国が欲しているのは、自らが望む条件の下でEUと新たに自由貿易協定を結ぶことのようだ。

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