16年度も下振れ、設備投資の低調が続く理由 「海外情勢の不透明感」が弱気の原因ではない
4月3日に発表された日銀短観の3月調査(全国企業短期経済観測調査)によれば企業の景況感は改善している。
景気の指標として注目度の高い大企業製造業の業況判断DIはプラス12ポイントで、前回の2016年12月調査(プラス10ポイント)から改善、大企業非製造業でもプラス20ポイントと前回調査(プラス18ポイント)から改善した(注:業況判断DIは「良い」と回答した割合から「悪い」と回答した割合を差し引いたもの)。業況判断DIは中堅・中小企業でも全体的に上向いており、「円安や輸出の回復、消費マインドの持ち直しなどが効いている」(みずほ総合研究所・経済調査部の有田賢太郎主任エコノミスト)。
2016年度設備投資は大幅な下方修正
しかし、気になるのが設備投資だ。2016年度の設備投資計画(全規模全産業、土地含む)は前年度比0.4%増で、前回調査(1.8%増)から下方修正された。特に大企業全産業では3.9ポイントと大幅に下方修正されている。
一方で2017年度の計画は全規模全産業で前年度比マイナス1.3%。前年の3月調査における2016年度計画が同マイナス4.8%だったのと比べると強気だ。米国トランプ大統領の政策運営など、海外情勢の不透明さから、2016年度の設備投資を2017年度に先送りした可能性を指摘する向きもある。
ただ、4月4日に発表された業種別のデータ(大企業)を見ると「必ずしも欧米政治の不透明さだけで説明できない部分がある」と、ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは指摘する。前年度と比較して、どの業種が設備投資の伸びに貢献し、どの業種が足を引っ張ったのか、寄与度を表したグラフを見てみよう。
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