16年度も下振れ、設備投資の低調が続く理由 「海外情勢の不透明感」が弱気の原因ではない

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2016年度に設備投資の前年度からの伸びでプラス寄与が大きかったのは運輸・郵便。ネット通販の成長に伴う物流基地の建設や、省人化投資などの影響とみられる。逆に、マイナスの寄与となっているのは電気・ガス、不動産、生産用機械。生産用機械は2017年度にはプラス寄与になっており、次年度に先送りされた可能性も考えられる。

電力・ガス業界の下方修正が大きい

とりわけマイナス寄与が大きいのは電気・ガス業界だ。さらに、2016年度当初から約5000億円の下方修正となっている。電気・ガス業界は2017年度の設備投資もマイナス寄与となっており、次年度に先送りしたわけでもないようだ。2016年度の大企業の下方修正3.9ポイントの要因の約半分(マイナス2.0ポイント)を占める。

電気・ガス業界は地域別の寡占市場であるうえ設備投資額が巨額になりやすく、個社の判断が業界全体の設備投資計画を左右しやすいという特性がある。日銀の担当者は「集計上、回答企業のテクニカルな要因が、大きな寄与になってしまうことがある」と説明する。電気・ガス業界の場合、近年は原発再稼働をふまえた安全対策の投資が行われてきたなど特殊な状況にあり、設備投資計画に何らかの変更が生じた可能性もありそうだ。

いずれにせよ、「欧米政治の不透明さにより設備投資を先送りしたというよりは、国内の特殊要因で設備投資を減らした可能性が高く、全体への影響も大きい」(上野氏)。

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