夫婦喧嘩は「結論を求めない」ほうが解決する お互いをさらけ出さないとわかり合えない

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本気のけんかとは、みっともない部分も含めてお互いをさらけ出すことです。精神的に裸になって相手と取っ組み合いすることです。そこまでして自分を理解してもらおうとすることです。相手を理解しようとすることです。夫婦にとってやはり象徴的な営みなのです。

上手な夫婦げんかを見て子どもが育つ

夫婦が時にぶつかり合いながらもお互いの違いを認め合い、尊重し合うことで、夫婦の中にダイバーシティ、つまり多様性を認める文化が生まれます。そのような夫婦に育てられた子どもは、両親がああだこうだと衝突し合いながらでもなんとか協力し合って生きていく姿を目の当たりにします。

「人と人とは違っていいんだ。違いを大切にしながら、理解し合うことはできるんだ」ということを、当たり前のこととして学びます。いわば「ダイバーシティネーティブ」です。

子育て夫婦が時に夫婦喧嘩をしながらでも、夫婦間のダイバーシティを実現することは、結果的にダイバーシティネーティブを育てることになるのです。必要とあらばぶつかることも辞さず、しかし必ず相互理解まで結び付けるスキルに長けた人種となるはずです。最近はやりの「グローバル人材」って、要するにそういう人のことだと思います。

『<喧嘩とセックス>夫婦のお作法』(おおたとしまさ著、イースト・プレス)。セックスレス、産後クライシス、家事ハラ、夫婦喧嘩……それでも、うまくいく夫婦はどこが違うのか。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

夫婦げんかをしてもその翌日には普通に会話を交わしていたり、むしろ今まで以上にラブラブしていたりというパパとママを見て、子どもたちは「なんか、夫婦っていいな」とか、「男と女が愛し合うってこういうことなんだ」とか、「信頼関係って、いつでも仲良くしていることではなくて、言いたいことを言い合える関係なんだ」とか、ちょっと生意気なことを感じ取ってくれると思います。

そういう経験が豊富な子どもなら、少々の夫婦げんかを目撃したからといって不安にはなりません。むしろ、「言いたいことははっきり伝えていいんだ」「自分とは違う意見でもそれを尊重することはできるんだ」「けんかをしたって仲直りできるんだ」などという「他人に対する基本的信頼」が育つはずです。これは健全な人間関係を築くうえでとても大切な前提です。

「男性が育児や家事に積極的になることで、どんないいことがありますか?」とよく聞かれます。それに対して私は、「両親そろって積極的に子育てや家事に取り組むことができるラッキーな環境にあるとして、その最大のメリットは、建設的な夫婦げんかを子どもに見せることができること」と答えます。

おおたとしまさ 教育ジャーナリスト

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Toshimasa Ota

「子どもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行う。著書は『名門校とは何か?』『ルポ 塾歴社会』など80冊以上。著書一覧はこちら

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