夫婦喧嘩は「結論を求めない」ほうが解決する お互いをさらけ出さないとわかり合えない
すると、数日後、23時45分に夫が帰ってくるという現象が起こったりします。
「妻に言われたから」という「意識」はないけれど、わざわざ遅く帰ることもないかなという気持ちに自然となるのですね。妻のほうも、「この前言うべきことは言ったから、これ以上うるさく言う必要もないかな」と、小言は言わない。すると今度はなぜか11時30分に夫が帰ってくるようになる。みたいな好循環が起こるのです。
本人同士でも気づかないうちに、じわりじわりと「いい落としどころ」に向けて、無意識的に歩み寄ることができるのです。心理学では「人間の行動の大半は無意識が決定している」などといいます。「自分にとって大切なあの人が、実はこんな問題意識をもっているんだ」ということが情報としてインプットされると、それを基にして無意識が勝手に自分の行動を誘導するのです。
その証拠に、みなさんも「数カ月前に激しくけんかして、そのあと特に何のすり合わせもしていないのだけれど、今さらけんかする気にはならないな、ま、いっか」と思った経験がたくさんあるのではないかと思います。
本音を伝えないのは相手を過小評価している
「必要な夫婦げんか」を先送りにしていいことはありません。時には勇気をもって腹の中をさらけ出し合いましょう。ただし、必要以上に相手を傷つけたり、たたきのめしたりする必要なんてまったくありません。問題意識を共有するだけでいいのです。
本音をぶつけ合うことは、それでも痛みを伴います。しかし、相手のことを思えばこそ、その痛みを乗り越えて、夫婦として1段上のステージに上がろうと思えるはずです。
相手に遠慮して自分の本心を伝えないというのは、一見思いやりのように見えて、相手を過小評価していることにほかなりません。「本心を伝えたら怒っちゃうだろうな」とか「意見を聞き入れてはくれないだろうな」と、相手の能力を見限ってしまっていることだからです。そういう夫婦関係は、本当の信頼関係で結ばれている夫婦関係とはいえないでしょう。
本当の信頼関係とは、傷つけ合うことを恐れて遠慮することではなく、仮に傷つけ合ったとしても自分たちなら必ず乗り越えられると信じ合えることです。「もめごとも乗り越えれば2人の宝物」と思えるようになることです。
「ものすごくむかついてぶつかることも多いけど、この人は絶対に逃げない。どんなに本音をさらけ出し合ったとしても、必ず最後まで向き合ってくれる」。そんな信頼関係が築ければ、夫婦として上等です。
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