トランプ政権、「核先制使用」のリアルな不安 冷戦時代のような議論が息を吹き返した

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トランプ大統領がマティス国防長官に新しい核体制見直し文書の作成を命じたNSPM1では、「米国の核抑止力が、21世紀の脅威を抑止し、同盟諸国に再保証するために、近代的かつ堅固、柔軟で、準備態勢にあり、適切に調整するよう確認する」ことを求めている。

同時に、ミサイル防衛システム能力を見直すため、国防長官に対して(1)ミサイル防衛能力の強化策を策定し、(2)国土防衛と戦域防衛のバランスを再調整し、(3)国防支出の優先順位を明確にするよう求めている。

冷戦時代のような議論が復活した

それ以上に懸念されるのは、冷戦時代を想起させるような国防支出権限法の付帯条項だ。米下院軍事委員会戦略戦力小委員会のマイケル・ターナー議員(共和党、オハイオ州選出)らが中心となってまとめたものと伝えられる。ターナー議員はブルームバーグ通信に対して「中国とロシア首脳の指揮・管制に関する知識は米国の抑止力を左右する」と指摘している。

また、核戦争時に中ロの指導部が危機を逃れて、どのような施設で指揮・管制にあたるかについても、国家情報長官と戦略軍司令部に対して報告するよう求めている。

こうした冷戦時代と同じような議論が行われるのは、トランプ政権が核軍拡の構えを示していることと無関係ではない。

しかし、ISに対して核兵器を使用することが適切な戦略なのか、あるいは北朝鮮との外交は断念するのか。なおトランプ戦略の核心は不明だが、トランプ大統領が外交よりも軍事を優先していることは予算、人事の両面から明らかだ。

(文:春名 幹男/国際アナリスト)

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「Foresight」編集部

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