風化させてはならない野村證券の「功」と「罪」 バブル最前線を知る2人が語る現代への警鐘

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2人の熱を帯びた対談は2時間に及んだ(撮影:尾形文繁)

永野:天皇陛下もかつてご下問されたように、通貨の価値が上がれば、唯一の指標である資産価値も上昇する、それは日本の国力が上がっている証明のはず。円高に耐えられるならばそのほうがいい。トランプは日中に対して「通貨安を誘導しすぎだ」と批判しましたが、長期的な意味ではそうは言っていない。アメリカが強くなるということはドルが強くなることですから。そういう当たり前のことを中長期の視点できちんとできるか。

もう一つの疑問として、企業と国家の利害は一緒なのかという問題があります。たとえば、ソフトバンクは日本にとって重要な企業なのか。リスクをとって自由に3兆円投資するのは勝手ですし、アラブと10兆円ファンドを組むという立ち居振る舞いはなかなかのものだと思う。ただ、それが日本のためになっていないのに安倍さんが入れ込んでタッグマッチだと思い込むのはいかがなものか? 孫正義氏の行動は日本にとって正しいのかどうかは評価が難しい問題だと思う。

安倍首相は球筋が読めない

横尾:通産省が本当に日本の国益を考えて頑張っていたのは1945~55(昭和20~30)年代までだと思うのです。本当は円高を守っていかなければいけない。日本の国力が認められたわけですから。国力、経済力、技術力というものを、伸びるようにもっていかないところで、通産省は間違ったのではないかと思います。

永野:大蔵省も含めて、見事に官僚の力を殲滅(せんめつ)したのが第2次の安倍晋三内閣だけど、そのあとにビジョンがあるのかというと……。リアリティのある提言をしてくれるならば乗っかってもいいと思う。国会でたかだか奥さんのことを言われただけで、怒っちゃうのが安倍王朝といえるか。強い人か、すごい人なのか、大したことがないのか。球筋が読めない。その意味でトランプと似ている。

横尾:その点、まったく同感です。先行きは、ますます不透明になっているように思います。

(構成:高杉 公秀)

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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