「外国人は4月に日本株を買う」は都市伝説か 2009年から8年間のデータで実際に検証

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では年度初めとなる4月相場はどうなるのだろうか?新年度は新規資金が流入しやすく強い動きを示すと市場ではよく言われている。実際のパフォーマンスや需給面で4月相場を確認したい。

2001年から2016年の過去16年間、日経平均が陰線を残したか陽線を残したか調べたところ、4月については、陽線9本、陰線7本という結果だった。11月、12月の陽線10本・陰線6本、2月、3月の陽線11本・陰線5本と比較すると多少見劣りはするが、1月の陽線5本・陰線11本や8月の陽線6本・陰線10本といった月と比べれば十分堅調な月間といえよう。

過去8年、4月の外国人投資家は7回買い越し

しかし、この推移だけで、4月が強いかどうか判断するにはさすがに心もとない。ここはやはり、東京証券取引所が発表している投資部門別売買動向での外国人投資家による売買動向も確認してみよう。

2009年からの8年分のデータを見ると、4月については、現物と先物合算では7回買い越した一方、1回売り越しと非常に強い内容となっている。とりわけ09年、14年、16年は、1-3月まで売り圧力が強まっていた状況から4月は買い越しに転じている。

「新年度だから、新規の買い資金が流入しやすい」という話は、市場概況などでもよく目にする。だが、実際のところはどうなのか。「機関投資家はその年度の運用方針をしばらく検討するため、4月は資金をあまり動かさない」という話を聞いたことがある。

新年度だから機関投資家による新規資金が入りやすいというロジックは、以前このコラムでも説明したことがある「幻のSQ」同様、市場の都市伝説のようなものかもしれない。

ただ、それでも先述の通り外国人投資家の動向を確認する限り、4月はしっかりと日本株を買うケースが多い。これは筆者の推測だが、新年度となる4月は税制や制度、政策など国の方針が大きく変化することが多い。4月は国会開催シーズンで、成長戦略や特区設置などの話もでやすい。こうした政策に絡んだ買いを入れる展開もありそうだ。

昨年10月以降の相場展開のように、外国人投資家が積極的に買っていると、日本株は総じて強い動きをみせがちだ。

一方、外国人投資家は、2017年1-3月にかけて1兆円近く日本株を売っており(先物+現物で1兆0803億円の売り越し)、米国株の上昇に反して日経平均の上値は重い。足元の円高ドル安が根本的な理由だが、4月相場は、2009年、2014年、2016年のように外国人投資家による買いという需給面を背景に、日本株はしっかりとした地合いとなる可能性もあると予想する。
  

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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