1500馬力!ブガッティ「シロン」に乗ってみた 時速100kmまで2.5秒以内の超絶加速

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クルマまわしには、3台のシロンがすでに暖機運転を済ませて佇んでいた。ゴールドとビジブルカーボンブラックのコーディネートが美しいヨーロッパ仕様のシロンが、贅沢にも午後のひととき、ボクの相棒になるというわけだ。

その他、ブガッティ・ライン(サイドのCライン)までブラックアウトした漆黒の個体と、ライトブルー&ビジブルカーボンの個体もあった。いずれも、大いにそそられる。もちろん、すべてはビスポークオーダーになるわけで、内外装の組み合わせはほとんど無限であり、理想の1台を作り上げることなど夢のまた夢というものだろう。

これだけの高額車両にしては何のギミックもデザイン性もないドアノブを握りしめ、深呼吸をひとつ、意を決して乗り込む。インテリアもまた、エクステリアのコーデに合わせたのだろう、明るいベージュとマットブラックカーボンの2トーンで、レザーの匂いがたまらない。

コクピットのデザインはとてもシンプルながら印象に残るもので、チーフデザイナーのエティエンヌ・サロメによれば、「コクピットに何十個もスイッチがあるのは許せないんだ。できるだけ少なくしたかった。ヴェイロンではセンターコンソールに馬蹄デザイン(グリルなど歴代ブガッティに特徴的な造形)を使ったけれど、ボクはもっとドライバーの視線が集まるところに使いたかったんだ」

よく見れば、ステアリングホイールのセンターパッドが馬蹄型になっている。その奥には、頂上に250km/hスケールを配した、つまりはフルスケール500km/hという信じ難いアナログスピード計が備わっている。「駐車時にブラックアウトしてしまうような液晶メーターは使いたくなかった。子供の頃を思い出してごらんよ、スポーツカーの室内を覗き込んで何をみようとした? スピードメーターだろう? だったら、世界最高の数字を見て欲しいじゃないか」。

世界が違う──ブガッティの1500馬力ハイパーカー、シロンに乗る【その2】

スーパーカー造りは、けだし、ロマンの産物だ

助手席には、お目付役兼ネビゲーター兼技術アドバイザーとして、開発テストを担ったアンディ・ウォレスが座っている。マカオGPやル・マン24時間レースの優勝経験もあるベテラン。その昔、マクラーレン F1で世界最高速記録に挑んだ男だ。

運転席とドアの間には、“スピードキー”と呼ばれる鍵を仕舞ったケースがある。それを使わない限り、シロンの最高速度は380km/hに制限されるというわけだが、もちろん、今回はテスト試乗だ。ケースを開けてキーを拝むに留める。

久しぶりに緊張しながら、おそるおそるアクセルペダルを踏み込んだ。軽く踏めば、すっと軽く進む。もう少し力を込めれば、込めたぶんだけすーっと動く。本当に1500馬力&1600Nmの怪物なのだろうか、と、疑うほどに従順だ。試しにブレーキをチョン。特殊なカーボンコンポジットをローターに使ったブレーキは、踏み慣れるまでに時間を要することが多い。その点、シロンのブレーキは、しつけが行き届いている。微速域から低速域では、ゆったりと思い通りのペースで走らせることができる。神経質な所作は、まるでなかった。

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