1500馬力!ブガッティ「シロン」に乗ってみた 時速100kmまで2.5秒以内の超絶加速

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もっとも、中東の王族などの数人で平均値を劇的に上げていることもあり得るから、平均値を額面通りには受け取れない。実際、ボクが知っているブガッティ ヴェイロンの日本人オーナーには、そこそこ近い人もいるにはいるけれど、そこまでのお大尽はいない。

ヴェイロンは、ブガッティがVW傘下となって登場(2005年に製造開始)した、妥協なきハイパーカーだった。300台のクーペと、150台のロードスターを生産。初期モデルで160万ユーロ前後の価格だったが、今ではそれを大幅に上回るプレミア価格で取引されている。1001〜1200馬力のW16クワッドターボエンジンを積み、実測最高速度が430km/hを超えたというモンスターマシンだ。

新型モデルのシロンは、もちろん、ヴェイロンの後継モデルである。昨年3月に開催された“スーパーカーの祭典”ジュネーブ・モーターショーで発表されるや、その驚愕のスペックで世界中のビリオネアたちを狂喜乱舞せしめた。

世界が違う──ブガッティの1500馬力ハイパーカー、シロンに乗る【その1】

自動車という枠組みを超えた存在

最高出力1500ps、最大トルク1600Nm、最高速度420km/h以上、0-100km/h加速2.5秒以内、500台の世界限定販売。そのベース価格は240万ユーロ(ネット)で、すでに250台以上の注文が入っている。これはヴェイロンのときを大幅に上回るスピードだ。1億円以上の超高額車両人気は、留まるところを知らない。

もっとも、このスペックそのものに関していえば、昨今、世界中のあちらこちらで産声を上げる“まだ見ぬ”スーパーカーブランドのプレス発表でも、負けず劣らずな数字を見つけることは可能である。テスラ モデルSだって、最高スペックのバッテリーを積んだモデルを選べば0-100km/h加速ではタイマンを張ってみせるだろう。

それでも尚、ビリオネアたちはまず、ブガッテイ シロンを求める。なぜなら、それはVWグループの厳格な品質管理のもと、最高のマテリアルとテクノロジーを使って紡ぎ上げられた、究極の存在となるからだ。芸術品ではない。工芸品でもない。ましてや工業製品でもない。そのすべてを併せ持った“何か”。たんなる自動車という枠組みを超えた存在であることを、彼らは知っているからである。

発表から1年、ようやくそのステアリングホイールを握るチャンスに恵まれた。試乗の当日、ベントレー・ミュルザンヌの後部座席に沈んでリスボンのホテルを出発したボクは、およそ1時間後、人影もクルマ通りも極端にまばらな田舎のヴィンヤード・リゾートにいた。

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