大阪城の外堀でトライアスロンができる理由 秀吉も驚愕!日本の公園はここまで変わった

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天王寺公園のエントランスエリア「てんしば」。すぐ近くの「あべのハルカス」から見渡すと、 周辺がどんどん変化しているのがわかる​(写真:LOCO / PIXTA)

――ここまで紹介したのは行政の規制緩和や工夫で公園運営に民間を巻き込んだものですが、民間企業が公園をつくった事例も紹介したいと思います。日本一の高層ビルとして知られる大阪・あべのハルカスの向かいにある、天王寺公園のエントランスエリア「てんしば」です。天王寺公園の一角は、徳川家康や真田幸村が本陣を構えた場所としても有名ですが、この公園は、近鉄不動産が管理受託しトータルプロデュースをしています。カフェ、コンビニ、フラワーショップ、フットサルコーナー、総合ペットサービスなどが設けられ、もともと年間120万人だった利用者が、一気に420万人に増えました。

税収増と不動産価値を上げるパークマネジメント

木下:この周辺はてんしばができたことでいま劇的に変わりつつあります。実はこの周辺のビルには、正直、品がよくないようなネオンも多いんですが、それがどんどん変わりつつある。あと10年経つと街の雰囲気はがらっと変わると思います。

稲本:僕の会社はあべのハルカス最上階の展望台にダイニングバーを出しているんだけど、そこから見下ろすとあの地域が変わっていくのがよくわかる。落ちた水滴の波紋が同心円状に広がっていくみたいに、てんしばを中心に街の様子が徐々に変わっていっている。

てんしば内のカフェレストラン。家族連れも来られるおしゃれな空間に(写真:とっしー / PIXTA)​

木下:地元の人に聞くと、以前のあの公園は「子どもを遊びに行かせられるような場所じゃなかった」という。

それがいまや公園が一新されキレイになっただけじゃなく、周辺にも人が集まりたくなるようなスポットが増えていっている。これこそがパークマネジメントですよ。

野尻:そうなると、周囲の不動産価値も上がるし税収も増える。

馬場:稲本さんの会社でも公共施設再生に取り組んでいる。その事例も紹介してくださいよ。

稲本:私たちの会社の公園活用でいえば、まず横浜のマリンタワーですね。8年前にリノベーションをして、運営しています。リノベ前は、1階にうどん屋さん、その奥に修学旅行生用の会議室と「ブリキのおもちゃ博物館」。2階には年季の入った食堂があって3階にゲームセンター、4階ではなんと、フラミンゴが飼育されていました。

木下:あまり魅力的なコンテンツではなかったと。

稲本:そう。マリンタワーの運営をしたいと思っていたけど、これを見たときは「やめようかな」と思ったくらいだった(笑)。

次ページ場違いのフラミンゴがいた横浜マリンタワーはどう再生した?
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