牛丼やビールが突然「健康に良く」なったワケ 急増する機能性表示食品、問題はないのか

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2016年11月、サプリメントなどの通販を手掛ける八幡(やわた)物産は、「北の国から届いたブルーベリー」を、「目の調子を整える」という表示を取り除いたうえで再発売した。

機能性表示食品の届け出支援などを行う日本アントシアニン研究会から「科学的根拠が不十分」との疑義申し立てを受け、届け出を自主撤回したためだ。

消費者本位の商品開発が求められている

また健康食品の素材開発を行うリコムは、トクホの申請時に食品安全委員会から安全性について、「臓器に影響を及ぼすことは否定できない」と評価された成分を含むサプリメント「蹴脂粒(しゅうしりゅう)」を、機能性表示食品として2015年11月から販売している。会社側は「安全性に問題はない」と語る。

企業側が専門家の研究を都合よく解釈して機能性表示食品の届け出を行うことは、別の問題も引き起こしている。国立健康・栄養研究所の千葉剛・健康食品情報研究室室長は、「企業が科学的根拠として採用した論文の被験者は若年層なのに、実際のターゲットは高齢者という場合もある」と指摘する。

消費者庁は、機能性表示食品の科学的根拠に関する検証事業の報告書にこう記している。

「届け出者が高い倫理観を持って消費者への誠実で丁寧な情報提供に取り組み、同制度の充実を図っていくことが重要だ」

各社のさまざまな思惑により活用が相次ぐ機能性表示食品制度。目先の利益にとらわれず、消費者本位の商品開発という前提を守るべきだ。

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(編集者・記者、マーケティング担当)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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