納得!「料理キット」が売れ続ける根本理由 別に手抜きがしたいワケじゃない

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一方、「パルシステムお料理セット」は、野菜はカット済み。ゴボウは水煮にする、ジャガイモは下ゆでするなど、下処理を済ませてある。主菜のセットには、肉または消泡剤不使用の豆腐がつくが、これらは自分で切る必要がある。調理時間は10~15分程度。野菜のボリュームが多いので、満足感がある。

「厚あげのホイコーローセット」の中身(撮影:今井康一)

和洋中取りそろえるが、人気は「厚あげのホイコーローセット」(2人前646円)、「豚のチンジャオロースセット」などの中華系メニュー。子育て世代の会員に毎週配布するカタログには16アイテム、DINKSと年配層向けのカタログには14アイテムを用意する。

各社の料理キットの違いは、顧客層の違いを表している。2000年創業と新興で、ネット通販中心のオイシックスの中心顧客は30代で、新しいレシピを求める傾向が強いようだ。たとえば、有名日本料理店「賛否両論」オーナーシェフの笠原将弘氏と共同開発した商品では、オレンジやブドウを味つけに使ったり、豚のしょうが焼きに醤油ではなく塩を使うといった斬新さがウケている。

「厚あげのホイコーロー」のできあがりイメージ(写真提供:パルシステム)

一方、歴史が長いパルシステム、らでぃっしゅぼーやは、顧客にベテラン主婦も多いせいか、定番料理の手間を省くことに力を入れる。その結果、たとえばパルシステムでは、妻が家を空けている間に夫や10代の子供が料理キットを使って食事の支度をするといったことが起きている。

こうした反応を受け、パルシステムでは、「来年は『夏休み、お子さんとチャレンジしよう』という打ち出し方を入れたい」と商品開発本部の北田真氏は話す。

ここで最初の疑問に立ち戻りたい。なぜ料理キットは人気が高いのだろうか。先発のオイシックスが販売を始めたきっかけは、野菜を使いこなせず、退会する人や利用頻度が下がる人が増えていたこと。そこで2012年10月頃から試験的に販売したところ、熱狂的な支持を受け、本格販売へ踏み出したのだ。

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