1位は計測・制御機器大手のキーエンスだ。平均年収は1777万円と、2位に200万円以上もの差をつけ、昨年から引き続きトップとなっている。2位は工作機械用NC(数値制御)装置首位のファナック(1571万円)が入った。2社とも高収益で知られており、直近決算期の営業利益率はキーエンスが51.0%(2016年6月期・3カ月の変則決算)、ファナックが34.6%(2016年3月期)と驚異的な水準である。
続いて準キー局の朝日放送が1518万円で3位。同じく毎日放送(1321万円)も7位に入った。学生人気の高い大手総合商社は、軒並み上位にランクインしている。5大商社のうち、4位三菱商事(1446万円)、5位伊藤忠商事(1383万円)、6位三井物産(1363万円)、10位住友商事(1256万円)の4社がトップ10内で、丸紅(1226万円)も13位に入った。
ほかには、9位日本経済新聞社、11位朝日新聞社などの全国紙、8位ヒューリック、15位住友不動産などの不動産、14位大和証券グループ、16位三菱UFJモルガン・スタンレー証券などの証券、専門商社や医薬品、海運も強い。なお、300社のうち上場会社は224社となった。また、大台の1000万円を超えたのは44社と集計対象のわずか4.0%だが、トップ300社なら十分高給の部類に入るだろう。
平均年収が示すのは「今」の待遇
ちなみに、初任給の欄を見ると、キーエンスは20.5万円(大卒B職)、ファナックが21.0万円(大卒)となっており、初任給については、高い部類には入らない。初任給だけでは本当の待遇を判断することができないといえるだろう。さらに、会社側の視点に立てば、初任給に一定時間分の残業手当などを含めれば、いくらでも高く見せることができる。必ずしも基本給=初任給ではないことを意識するとともに、総合版に収録されている「初任給の内訳」データにも目を通しておくことをおススメしたい。
しかし、平均年収が待遇を計るうえで万能な指標かというと、必ずしもそうではない。それはやはり現時点のデータであり、あなたがその会社に入社して、平均年齢付近に達したころにもらえる額とは限らないからだ。給与体系も、年功序列重視から成果や職能評価に、より比重を置く企業が増えている。また、大企業だから安泰というのは、もはや短絡的な考えだろう。企業を取り巻く環境はつねに変化しているのだ。
さらには、高給であれば、相応の働きを求められるはずだ。それが質(成果)なのか量(長時間労働)なのか、あるいは両方なのか――。いずれにせよ、データを眺めて終わるのではなく、その背景や因果関係を掘り下げることも、後悔しない企業研究や企業選択に繋がるはずだ。
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