ヨーロッパは「結婚制度に縛られない社会」だ 「充実したパートナーシップ」こそが重要
最近、「若者の結婚離れ」や、「結婚できない人の特徴」などが取りざたされている。筆者は20代半ばで独身だが、こういった記事を見るたびに、結婚へのプレッシャーをかけられているような気持ちにさせられてしまう。
結婚制度自体が、現代の社会と適合していない
日本放送協会が実施している「日本人の意識調査」では、「結婚するのが当たり前だ」という問いに対して、1993年では「当然」が44.6%、「しなくてよい」が50.5%だった。2013年になると、「当然」が33.2%、「しなくてよい」が62.6%となっている。現代では、6割以上の人が、「結婚しなくてもいい」と考えているのだ。それなのに、付き合っている人がいれば「結婚は?」と聞かれるし、30歳前にもなってくると「結婚しなきゃ」と焦る人を見掛ける。「結婚」への社会的プレッシャーは、依然として強い。
そのため、「結婚しない、できない人の問題点」を指摘する声が大きく、「結婚制度に適合しないことは悪いことだ」という論調が強い。だが、そもそも多くの人が結婚しない、またはできない状況に陥るのは、結婚制度自体が、現代の夫婦のあり方に適合していないからではないだろうか。
日本の結婚制度は、家制度と密接に関係している。家制度とは、明治時代から戦後まで続いた制度で、戸主、多くの場合は父親が絶大な権力を持ち、戸籍に登録された「家」という小さな国を率いていた。女性は、父に従い、夫に従い、息子に従うのが当然だった。
家制度が廃止された今も戸籍制度は残っている。結婚制度は結局、家制度の価値観に基づいているのだ。婚姻届を提出することを「入籍」ということや、結婚式では「○○家と××家の結婚式」と書かれていることからも、家制度を踏襲していることがわかるだろう。男性がパートナーの父親に、「娘さんを僕にください」と言うが、女性がパートナーの母親に、「息子さんをください」とは言わない。それもまた、父親が決定権を持っており、女性が男性の家に嫁ぐ、という価値観が根付いているからだろう。
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