高卒でアルバイトの男性が住みたい街の1位は、同率で秋葉原と御茶ノ水(神保町も含む)である。高卒でアルバイトの男性はアニメへの関心が高いことが集計からわかっているので、アニメの聖地に住みたいということであろう。
高卒正社員女子は、なぜ北千住に住みたいのか
他方、高卒で正社員の女性の住みたい街の1位は26%という高率で北千住である。先ほど書いたように、東京の東側には高卒の女性が多い。それらの女性の中には、大企業ではないが、地元では手広く、手堅く商売をしている金融機関や不動産会社などに就職するケースが多いだろう。そういう女性がある程度収入も上がって住むとなると、交通の便がよく買い物にも便利な北千住が選ばれるのではないか、と私は推測している。
第2位 自由が丘 ・・・18.5%
第2位 池袋 ・・・18.5%
第2位 町田、相模大野 ・・・18.5%
第5位 横浜みなとみらい ・・・14.8%
第5位 表参道、青山、原宿 ・・・14.8%
第5位 川崎 ・・・14.8%
第5位 お台場海浜公園、東雲 ・・・14.8%
第5位 上野、御徒町 ・・・14.8%
第5位 港北ニュータウン ・・・14.8%
N(調査の母数)=29
ちなみに、高卒でアルバイトの未婚女性の住みたい街の1位は松戸であり、2位に北千住、中野、高田馬場(早稲田も含む)が来る。学生、専門学校生などが多く、にぎわいがあって安い酒場もあり、かつそれらの酒場自体がバイト先にもなりうる街である。
武蔵小山の飲食店街に若い女性が好んで飲みに行っている話は本連載でもしたが(「週7日飲酒?赤提灯に集う『暗黒女子』の正体」)、実際、ここに住みたいという女性はどんな特徴があるのだろうか。いろいろと集計してみると、アルバイトの女性では武蔵小山(戸越銀座、荏原中延)に住みたいと回答した割合が9%となり、順位にして6位である。
そこに学歴を掛け合わせると、4年制大学卒でアルバイトの女性が住みたい街は、横浜みなとみらいなどと同率で下北沢と武蔵小山が1位となる。
第1位 千葉、幕張、稲毛 ・・・12.5%
第1位 池袋 ・・・12.5%
第1位 下北沢 ・・・12.5%
第1位 武蔵小山、戸越銀座、荏原中延 ・・・12.5%
第2位 新宿 ・・・9.4%
第2位 鎌倉 ・・・9.4%
第2位 横浜山手 ・・・9.4%
第2位 西荻窪 ・・・9.4%
N(調査の母数)=32
さらに、4年制大学卒のアルバイトで未婚の女性だと、武蔵小山は単独1位、しかも24%と高率である。
いわば、武蔵小山は「女子の高円寺」なのだ。高円寺に住むほどロックやアートへの関心はないが、お酒を飲んで、酒場の人たちと語らうのが好き、というタイプなのである。
私の知っている武蔵小山好きな女子は4年制大学卒の正社員だが、日本的な、いわゆる就社志向の社員というよりは、比較的自由度の高い仕事を楽しくやっているタイプ。感性としてはアルバイトに近いものがある人たちだ。だがとんがったサブカルチャーには関心が薄い。そういう属性が、彼女たちをして武蔵小山を選ばせるのだろう。
ちなみに、専門学校卒の正社員男性が住みたい街の1位も武蔵小山(同率で鎌倉)。これも、武蔵小山の飲食店などの客層を見ると納得できる。3位は同率で二子玉川、秋葉原などと並んで大井町(大森も含む)や門前仲町(砂町、錦糸町、両国、亀戸も含む)がランクイン。武蔵小山同様、古くて安くて美味しい店がたくさんある街である。
以上見てきたように、学歴という指標で集計することで、実は住みたい街には非常に多様性があるということがわかるだろう。誰もが等しく吉祥寺や恵比寿、横浜に住みたいわけではない。どんな人が、どんな街に住みたいのか、これが街を評価していくうえで欠かせない視点なのだ。
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