「売れる法人営業」が無意識に使う3つのワザ

一流営業マンには、これが「当たり前」です

特に後者については、組織人ならではの「周りからの評価を気にする」という点とも大きく絡んできます。次に、その点を少し詳細に説明します。

組織人は保守的という前提でアプローチする

「法人顧客の最大の関心事は社内からの評価である」というフレーズがあります。法人というと顔のないイメージがありますが、実際に物事を決めるのはやはり特定の個人です。そして彼らは組織人である以上、結果責任や人事考課への影響を気にしながら意思決定を行うものです。

「この営業担当者の提案は良さそうだけど、もし導入して失敗したらどうしよう」

「この営業担当者を○○部長に紹介しても大丈夫だろうか。あとで時間を無駄にしたと言われたら嫌だなぁ」

こうしたことを考えるのが組織人というものです。また、多くの人間は面倒くさがりやで、既存のやり方を変えることを何となく嫌うものです。社内の多くの人々に説明をしなくてはならないケースなどではなおさらです。そうした組織人ならではの保守的姿勢を理解したうえで、それを緩和する工夫が功を奏することが少なくありません。

たとえば先述の仮説的ストーリーの構築は、「ここまで考えている営業担当者であれば、キーパーソンに紹介しても自分が責められることはないだろう」という安心感にもつながります。「社内営業」しやすい資料を渡すのも効果的です。

また、キーパーソンへの提案であれば、何らかのリスクヘッジ策を同時に提案する、あるいは過去の実績を丁寧に説明するなども有効です。後者は、言い換えれば、何かあった時の言い訳をあらかじめ準備してあげているわけです。

このように、組織の購買責任者は一般に保守的です。一方で、手柄を挙げたいという野心も当然あります。

そうした相反する心理が混在することを理解しつつ、そのどちらにより傾いているかについても、仮説を持ちながらコミュニケーションすると、購買プロセスをより効率的に前に進めることができるようになります。

なお、今回は顧客企業について議論しましたが、自分を手伝ってくれる自社組織の人間も、評価につながりにくい仕事は嫌うという点は理解しておきましょう。顧客組織だけではなく、自社組織にも目配せし、協力を取り付けるダンドリを忘れてはなりません。

今回は3つのティップスについてご紹介しましたが、他にもMBAで学ぶ科学的知見が多数使えるのが法人営業というものです。

たとえば、ロバート・チャルディーニが提唱した『影響力の武器』――返報性、コミットメントと一貫性、社会的証明、権威、希少性、好意――はすべて法人営業で応用できる要素です。

サンクコストへのこだわりや授かり効果といったバイアスも、既存顧客のブランドスイッチを防ぐうえで大きな効果を発揮します。

MBAで学ぶような経営のサイエンスは、マーケティング領域のものだけではなく、ほとんどのものが法人営業に何らかの形で応用可能です。だからこそ、営業担当者としてのパフォーマンスを高めるべく、経営というものをしっかり理解することこそが、「できる営業担当者」になる早道なのです。

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