「不幸の連鎖」を断つ、ある夫婦の対等な結婚 20年付き合ったパトロンと別れ、46歳で結婚

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自分は無価値だと思っていると結婚生活はうまくいかない(イラスト:堀江篤史)

不幸は必ずしも連鎖しない。苦労の多い家庭で育ったとしても、運と努力で生き抜けば穏やかな結婚生活を手にできる――。3年前に9歳下の男性と結婚した木村涼子さん(仮名、49歳)と会い、人が持つ生きる力の強さを筆者は感じている。

借金をしてでも「飲む、打つ、買う」父親に…

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北国出身の涼子さん。父親は仕事をせず、借金をしてでも酒・ギャンブル・女遊びをやめられない人だった。泥酔しては暴れ、家族に暴力を振るう。家の中はつねにグチャグチャだった。他人には臆病で、借金取りが家まで押しかけて来ると1人でさっと逃げてしまう。母親も幼い子どもたちをかばってはくれなかった。

「借金取りがむちゃくちゃな脅迫をする時代でした。玄関先に猫の死骸を投げ込まれたこともあります。父も母も家から逃げてしまうので、長女の私が借金取りの対応をせざるをえませんでした。このおじさんはどうやったら冷静になってくれるのか。人の気持ちを察して上手に立ち振る舞えるようになり、上京してからの接客業に大いに役立ちました」

壮絶な経験が「後で役に立った」と淡々と振り返る涼子さん。その表情に気負いはなく、控えめながらも明るい雰囲気を漂わせている。

高校は中退し、19歳のときに単身上京。当時、隆盛期に入っていたエステ業界に足を踏み入れた。

「バブル期でしたから、とにかく忙しくて儲かりました。300万円を現金で持って来て入会するお客さんがいた時代です。25歳で店長にしてもらい、都内に2DKのマンションを買いました。もちろん、ローンです。会社の社長が保証人になってくれました。あと5年でようやく完済できます」

当時、涼子さんには上京してすぐの頃から付き合い続けていた7歳年上のパトロンかつ恋人である既婚男性がいた。涼子さんはそのパトロンからおカネを出してもらって独立をする。一時期は7人のスタッフを抱えるエステサロンの経営者だった。6年間ほど続けたが、スタッフが結婚を理由に辞めてしまうことが相次ぎ、店を閉じることにした。

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