チョコの新潮流「ビーントゥバー」とは何か 日本でも新しい歴史が始まっている

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タンザニアでカカオ集荷場の女性たちと活動する立花商店の生田さん

日本のビーントゥバームーブメントの背景には、カカオ豆を扱う会社、人の存在がある。立花商店は、2013年から良質なカカオ豆をガーナ、ベトナムなど、世界15カ国以上から輸入し、ビーントゥバーチョコレート専門店に販売している。現在は必要な機器類の輸入代行も行い、4年間で顧客は8倍に。問い合わせは年々増えているという。産地からダイレクトトレードする店もあるが、小ロットで小売りする会社の存在は、開業やビーントゥバーの導入を助ける。

カカオ生産地とチョコレートの作り手をつなぐ

また、カカオハンターとして知られる小方真弓さんは、コロンビアを拠点に、カカオ生産地で研究・開発を行い、ビーントゥバーの裾野を広げた人物だ。品質の高いコロンビア産カカオ豆を日本で販売するほか、自身でもビーントゥバーを手掛け、技術指導をする。カカオ生産地とチョコレートの作り手をつなぐ大きな役割を担う。

ブームが過熱する中、人気店「ミニマル・ビーントゥバーチョコレート」代表の山下貴嗣さんは「チョコレートは食べ物なので一定の品質管理、安全管理が重要。プロ以外の人が真似をして安易にカカオ豆からチョコレートを作り、販売し、ワークショップなどを行って口にするのは安全でないことがあるので注意が必要」と話す。

立花商店の生田渉さんは、「日本では欧米ほど板チョコレートが消費されていない。日本に合った商品も開発しながら、日本独自のビーントゥバー文化が定着するとよいのではないか」とも言う。ビーントゥバーの価格は、ほぼ1枚1000円以上。良いカカオ豆から小規模生産すれば値段は上がるが、何も説明がなければ、板チョコなのにと価格に驚く消費者もまだまだ多い。

ヨーロッパのショコラティエが作る高級チョコレートは、2000年代初頭から日本に広く紹介され、今やギフトに適した味の芸術品として日本に定着した。同じ2000年代初頭に米国のガレージで生まれたビーントゥバーチョコレートは、今後どう日本に定着していくだろう。まったく新しいチョコレートの歴史が確かに始まっている。

市川 歩美 チョコレートジャーナリスト/ジャーナリスト

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いちかわ あゆみ / Ayumi Ichikawa

大学卒業後、民間放送局に入社、その後NHKで、長年ディレクターとして番組企画・制作に携わる。現在はチョコレートを主なテーマとするジャーナリストとして、日本国内、カカオ生産地などの各地を取材し、情報サイト、TV、ラジオなど多くのメディアで情報発信をしている。チョコレートの魅力を広く伝えるコーディネーターとしても活動。商品の監修や開発にもかかわる。

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