「ぺんてる」が高級シャーペンに秘めた超技術

価格は3000円!ノック不要の「オレンズネロ」

「機械では芯に対し、垂直方向に力を加えますが、人間が書く場合は、斜めに力が加わります。また、人によって筆圧も角度も異なります。誰が書いても、軽い書き味で、美しい線が書けるように調整するのが非常に大変で、2年かかりました」(我孫子氏)

このように、今回発売されたオレンズネロは、これまでの同社の歴史と技術力の粋と言うことができる。機構部分だけではない。本体のデザインや素材にも、同社ならではのこだわりが込められている。

機能性を秘めた普遍的デザイン

オレンズネロをぺんてるのフラッグシップモデルとなるシャープペンシルにするために、時が経っても古びない普遍的なデザインを目指したという。デザインにあたっては、これまで淘汰を生き残ってきたロングセラー商品の共通項をピックアップした。それが、12角形の軸であり、黒というカラーだった。

デザインを担当した柴田智明氏(左)と技術開発に携わった伊藤好和氏。「ペンの重心を低くしたので、力を込めなくてもすらすら書ける」と説明する柴田氏(撮影:風間仁一郎)

開発に携わった伊藤好和氏(同社シャープ企画開発部シャープ開発課)は、「オレンズブランドから引き継いだのが、くびれた形状の先金です。1つには、シャーペンにとっては“ペン先が命”なので、ペン先に視線が集中するように。もう1つは技術的な理由です。自動芯出しの機構などが中に入っているため、どうしても軸が太くなってしまう。そうすると、まっすぐの形状だと書くときにペン先が見えなくなってしまうんです。そこで、口金のくびれをつくり、ペン先が隠れないように工夫しています」とデザインに秘められた機能性を説明する。

「金属と樹脂を混合したものを本体の素材として用いています。この素材の特徴は、両者の混合バランスによって、重さを調節できること。オレンズネロではペン先のほうに金属の割合を増やし、重心を低くしています。ペン先が自重で動くので、軽い筆圧で書くことができます」(同社デザイン室プロダクトデザイングループ 柴田智明氏)

もう1つエピソードを明かせば、オレンズネロの開発に先立つ2013年、0.1ミリ芯径の芯と、それに対応するシャープペンシルが開発されている。こちらは純粋に技術を追求するための開発で、実用化はされていない。しかし、オレンズネロでは、0.1ミリモデルの技術がさまざまに採用されているという。

芯径0.2ミリ以下の芯はとりわけ高い製造技術が求められ、ぺんてるだけが作っているという(撮影:風間仁一郎)

このように、同社でも最先端の技術を詰め込んだ、まさにフラッグシップモデルがオレンズネロ。製造過程も複雑で、手で一つひとつ組み立てなければならない部分も多いという。製造できる量も限られてくる。

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