英メディアのポピュリズム批判は生ぬるい

トランブと戦い続ける米メディアと雲泥の差

英国のメイ首相(写真右)がトランプ米大統領(左)との関係強化を求めていることで、欧州連合(EU)加盟国の間では離脱交渉を前に懸念が強まっている。メイ首相が訪米した1月にワシントンで撮影(ロイター/Kevin Lamarque)

筆者はポピュリズムがもてはやされていなかった時代を覚えている。その頃、移民排斥主義はどんな形であれ、政治的に支持はされなかったし、経済面での保護主義を唱える者が選挙で勝つこともなかった。有権者は、移民問題について憂慮している者でさえ、経済と福祉の問題を基準にして投票を行っていた。

だが現在、政治状況は異なった方向にあるようだ。その最たる例は英国民投票でのEU(欧州連合)離脱派の勝利と、ドナルド・トランプ氏の米大統領当選だ。ポーランドとハンガリーの両国でも、ナショナリストやポピュリストが勢いを増している。

もちろん、権威主義国家と民主主義国家とでは、ナショナリズムの意味合いは異なっている。中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領は西側同様、国民の支持を集めるのにナショナリズムを利用しているが、民主的な制約を受けず、法の支配を無視することもできている。

ロシアや中国とはさすがに違うものの...

習近平主席は反対勢力を逮捕しており、反プーチン主義者には殺害の憂き目を見ている者がいる。だが、米国の大統領はある程度は憲法や特定の価値観の制約を受けており、反対派を殺すことはできない。トランプ氏はそうした制度を嫌っているかもしれないが、その制約からは逃れられない。

もちろん、トランプ氏が法の支配を逃れようとしていないわけではない。可能な範囲内で、自身に従おうとしない者を解任したほか、執拗な攻撃を通じて反対派の信用を傷つけたり、弱体化させようとしてきた。たとえば、イスラム圏7カ国からの入国を禁止した大統領令の一時差し止めを命じた判事や裁判所を繰り返し批判した。

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