カープの「球場メシ」は他球場と何が違うのか

三井物産系「エームサービス」が支える裏側

一般に、球場のフード店舗は球場にテナントの形で入居している。テナントを選ぶ権限は、基本的に球団ではなく球場が握っている。球場の運営権限を球団やそのグループ会社などが握っている、いわゆる球団との一体経営が実現している球場であれば、ファンのニーズをある程度は反映しやすくなる。

それでも、各店舗はテナントとして入居している身であり、限られたスペースには、ほぼ本能的に最も売りやすいモノを置いてしまう。いきおい、やきそばや唐揚げ、フライドポテト、カレーなどに偏りがちになる。

球場内の全店舗を一括運営するメリット

しかし、球場内の全店舗を運営できるとなれば、広範なメニューを扱うことに躊躇しなくなる。「数はあまり出なくても、確実にニーズがあるメニューを網羅できるのは、全店舗の運営を一括で受託できているからこそ」(エームサービス)だという。

マツダスタジアム名物の「CCダンス」も、エームサービスの提案で実現している。CCダンスとは、5回裏終了後、場内のビールの売り子さんたちが、ビヤタンクを下ろし、カープの応援歌「勝利を我らに!~Let’s Win!~」(ビクターエンタテインメント)に合わせて一斉に踊るダンスである。

2009年3月のマツダスタジアム開場とともに誕生しており、振り付けはあのラッキィ池田が担当。発案者はエームサービスで現在は執行役員を務める紅林利弥氏。当時は営業部門の責任者だった。メジャー球場を視察するなかで、フィラデルフィア・フィリーズの本拠地であるシチズンズ・バンク・パークで、イニングの合間にグラウンドの土をならすグラウンドキーパーが、「YMCA」の場内放送に合わせて踊るのを見て考えついたという。

他球場であれば、売り子さんたちは球場と契約しているビールメーカー各社に雇われ、派遣されているが、マツダスタジアムでは全員がエームサービスに雇用されているからこそ可能なサービスなのだろう。

売り子さんたちのユニホームにも着目してほしい。他球場なら売り子さんたちはビールメーカーごとに異なるユニホームを着ているが、この球場の売り子さんたちは、全員がエームサービスのユニホームを着ている。

大きさもさまざまな「ヘルメットフード」の容器。今ではどの球場でも「定番」の大人気商品になっている

そして、球場フードの人気者「ヘルメットアイス」を日本で初めて販売したのも実はエームサービスなのだ。

掌サイズのミニチュアヘルメット容器にアイスクリームやパフェのほか、ポテトや唐揚げなどのおつまみを入れて売るヘルメットフードは、2009年にマツダスタジアムで販売が開始されて以降、各球場で取り扱われるようになっていった。2016年シーズンに神宮球場が導入したことで、今では12球団すべての本拠地球場で扱われるようになっている。

次ページ「ヘルメットアイス」の原点とは
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