カープの「球場メシ」は他球場と何が違うのか

三井物産系「エームサービス」が支える裏側

旧広島市民球場の老朽化が進むなか、球場の建て替え構想自体は1990年代前半からあったようだが、実現に至ったきっかけは、2004年の球界再編騒動だ。当時のカープは観客動員数が低迷、他球団に吸収合併されて、カープが消滅してしまうのではないかという危機感を、広島市民のみならず、行政も地元財界も抱き、観客動員数を伸ばせる魅力的な新球場建設に向け、官民一体となって動き出したということらしい。

マツダスタジアムは「官民一体」の成果

その一体ぶりを象徴するのが、新球場マツダスタジアムの建設にかかる事業費の負担割合だ。総額144億円の内訳は、市民の寄付が1億2600万円、交付金や補助金が10億円強、財界からの寄付と、広島県の税金が11億5000万円ずつ、広島市の税金が23億円で、残る87億円がカープをはじめとする利用者の負担。

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利用者負担分は、広島市が税金で先払いし、利用者が30年間の分割で返済していく。球団は指定管理者に指定されたことで、スタジアム内の飲食、広告看板の運営権を得ると同時に、返済原資を確保する責任と、集客力を高め、二度とカープを消滅の危機にさらさせない責任も負ったといえる。

カープは12球団中唯一、オーナーが球団社長を兼務し、現場の指揮に直接関与する球団である。意思決定のスピードは役人のそれとは比較にならないほど速いはずだ。

最も効果的な飲食提供手段を、様々なしがらみに縛られることなく選択できる環境が整ったからこそ、一括委託方式は実現したのかもしれない。

だとすれば、どこの店も似たようなものしか置いていない球場にも、カープと同じ一括委託方式が導入される可能性はというと、きわめて低いということになるのだろう。

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