世界を揺さぶるトランプ金融規制緩和の衝撃
リスクマネーの膨張はバブルを招きかねない
その末路を見通すことができるのか
トランプ大統領は、相変わらず迷走し、メディア批判など敵をつくることで自分への攻撃をかわそうとしている。今回のドッド・フランク法の見直しも、彼自身は中小企業への融資が拡大し景気が拡大するだろう、といった程度の認識しかないのかもしれない。
現在はリーマンショック以降、米国、欧州、日本などが実施してきた金融緩和政策や量的緩和政策などの影響で、金融市場は史上空前のカネ余り状態。世界の株式市場の時価総額の半分以上を抱える超経済大国である米国が、金融機関の自由な取引を許せばどういうことになるのか。
トランプ政権には、その末路をアドバイスできるスタッフがいないのかもしれない。黙殺して、自分自身の利益を目指す閣僚ばかりでないことを祈るばかりだ。
ちなみに、日本への影響も計り知れない。メガバンクなど国際的な活動をしている金融機関はバブル崩壊のリスクを背負い、日本国内でも不動産バブルなどが再燃する可能性が高い。リーマンショック以後、自己資本の増強などを図ってきたが、そうした枠を超えるショックが起きたときどうなるのか。アベノミクスによるマイナス金利もどうなるか。米国のバブルは金利高を招き、テーパリング(量的金融緩和の縮小)を招く。
かつて「ドイツ民族ファースト」を連呼したヒトラー政権はやがて戦争に突入していった。このままトランプ政権が続けば、米国の暴走は誰にも制止できなくなるかもしれない。