ソロ男たちが、自分のためにおカネを使いたいと思っていることの根拠として、面白い調査結果があります。ソロ男と既婚男性を対象に、「今まで異性にプレゼントしたものの中で、(本人としては)いちばんよかったと思うものの金額はいくらでしたか?」という質問をしてみました(2015年ソロ男プロジェクト調べ。20~50代の未・既婚男性計519人を対象)。
「真心ゼロ円」?ケチすぎるソロ男たちのプレゼント内容
結果は、既婚男性が平均8万1649円、ソロ男は平均5万4618円。ソロ男のほうが約3万円も低いという結果でした。なお、既婚男性の回答からは、平均金額を引き上げてしまう婚約指輪や結婚指輪などは除外しています。それでもソロ男のほうが低いわけです。
興味深いことに、ソロ男には“プライスレス”なプレゼントを誇る特徴が見られました。たとえば、「自作の歌ゼロ円(25歳)」「最高の褒め言葉ゼロ円(34歳)」「真心ゼロ円(44歳)」など。最後の方は、真心の何たるかをご存じなのでしょうか。そして、贈られた女性はいったい、どんな気持ちになったことでしょう。心中お察しします。
ソロ男たちは、単なるドケチなのでしょうか? それは違います。「自分のためにおカネをかけたいからこそ、他人へのプレゼント代はケチる」。それもソロ男のコスパ意識の特徴のひとつです。一般的にイメージされるような、アニメやアイドル、ゲームなどオタク的な趣味の消費しかしないのでしょうか? それも違います。彼らの消費力は、日常的なものにおいても旺盛なのです。
拙著『超ソロ社会』の中でも書いたとおり、20年後には人口の5割が独身者となり、全世帯の4割が単身世帯となります。こうなったとき、このソロモンたちの消費力は無視できないボリュームになるでしょう。
従来、「消費は女性が作る」といわれてきました。マーケティングの世界では、ほとんど女性がターゲットとして設定されます。高度経済成長期において、消費の主役は主婦たちでしたし、今も、食品・飲料・衣料・雑貨・外食・エンタメ産業に至るまで、F1層と呼ばれる20~34歳の女性がターゲットとして設定されることが多いのが現実です。テレビCМも女性向けが多く、男性向けといえば、缶コーヒーくらいなものでした。
メディアでも脚光を浴びるのはつねに女性たちで、独身OLや女子大生、女子高生がもてはやされ、映画のレディスデーはあってもメンズデーはありません。女子会割引はあっても、男子会割引など聞いたことがありません。マーケティングにおいて、男性はずっと蚊帳の外に置かれていたわけです。
確かに、所得のうちどれだけを消費にあてるかを示す消費性向を見てみると、女性が75%なのに対して男性は60%台。可処分所得のうちのほとんどを消費に回す女性と比較すると、男性の消費力は低いと思われがちです。ただ、単身男女の消費支出を実額で比較すると、決して男性の消費力が弱いとはいえないのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら