そこで、消費支出実額で比較してみると、ソロ男の実消費額は決して家族に負けていないことがわかります。弁当やおにぎりなどの調理食品、コーヒーを含む飲料、酒類の消費支出実額に至っては、なんと1家族分を超えています。
さらに、外食に至っては1家族分をはるかに凌駕しています。家族の外食費が月1.4万円に対して、単身男性は34歳以下で2.5万円、35歳以上でも2.3万円と、月1万円ほども上回っています。平均3.4人の1家族分以上を、ソロ男たちは1人で消費してしまうわけです。この事実はあまり知られていないし、メディアもほとんど取り上げたことがありません。ちなみに、34歳以下の単身女性ですら、1家族分を上回る1.6万円の外食費を計上しています。外食産業もこうしたソロモンたちの消費力を無視できません。
高齢化社会が叫ばれたとき、資産や貯蓄のある高齢者こそ「次の消費を牽引するターゲット」ともてはやされましたが、実際はどうだったでしょうか? 彼ら高齢者は、資産や貯蓄はあっても、それらをあまり消費に使ってきませんでした。持っていても使わないのなら、消費市場には貢献しません。それとは対照的に、たった1人で1家族分以上使うソロモンたちが増えるインパクトは大きい。消費の業態構造そのものを変えると言っても過言ではないでしょう。
今までのマーケティングも市場の業態構造も、「夫婦と子」という標準世帯に縛られすぎていました。「夫婦と子」世帯は今後ますます減りこそすれ、増えることはありません。独身がマジョリティとなる世の中に向けて、いつまでも「家族」向けサービスだけでは頭打ちになります。
生活者のニーズは、「ソロモン」寄りになっていく!?
単身世帯以外にも、子を持たない「夫婦のみ」世帯も増えるでしょう。共働き世帯も増えます。そうなると、お互い働きながら自炊や家事をこなすことは大変になります。準備や後片付けが発生する自炊はやめて、平日は互いに別々に外食や中食(出来合いの総菜などを買って済ませる)パターンのほうが楽です。これは、「結婚はしているが、消費行動はソロモン的」といえるかもしれません。
生活者のニーズは、これから確実にソロモン側に寄っていくし、ソロモン的消費形態が主流となっていくはずです。そんな彼らの、日常的でありながら旺盛な消費行動をどうやってつかまえるか。または、新しく彼らの需要をどのように喚起できるか。それが、これからの鍵になるのではないでしょうか。
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