「町内会バス」の美談にあえて入れるツッコミ 「努力」の範囲だけで問題をとらえていいのか
生活交通をどうするか
2月19日に配信した「『町内会』の担い手がますます減りそうな理由」で触れた「住民主体による地域の課題解決」は介護の問題にとどまりません。拙著『どこまでやるか、町内会』でも触れていますが、生活交通の確保もその1つです。高度成長期に丘の上などに開発された住宅団地で、いっせいに高齢化を迎え、「坂の上り下りができない」という深刻な事態が生まれています。
もちろん、自家用車で上り下りすればいいことですが、車のない家庭もあるうえに、高齢者の交通事故が大きな社会問題となっている昨今。「免許を返納したいけど、代わりの手だてがないし……」という不安が出ています。
福岡市南区にある分譲住宅街。ここは1960年代に作られ、南区の中でも高齢化率が高い地域になっています。坂が非常に多い地域で、町内会の会合では、買い物や病院へ行く不便さがいつも話題にのぼります。
「見かねたある町内会役員の方が、3年前から週1回マイカーを運転して、交通手段のない高齢者を誘って、近くのスーパーに買い物に行かれています」
この問題を取り上げた堀内徹夫市議は語ります。
「しかし、この役員の方は83歳。本人は事故のことがいちばん心配で、安全の問題には細心の注意を払っている、と述べています。バスやタクシーの定期運行をなんとか実現してほしいというのが要望です」
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