サトウvs越後、切り餅訴訟が“飛び火" 業界3位、きむら食品も巻き込まれる

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越後製菓側は「裁判所で事案を慎重に解明すべき」であることを理由に、現時点では本誌の取材を受けないとしている。

そこで、あくまで裁判所に提出された書面で確認できる範囲で、サトウ食品の2次訴訟における越後製菓側の主張をまとめると、以下の3つのポイントとなる。(1)大量証拠の多くは信用性に欠ける。(2)木村氏の証言は利害関係を有するから信頼できない。(3)樋口氏の証言も、たいまつ食品は側面スリット入りの切り餅への参入を目論み、越後の特許の無効審判請求も行っているので、同じく利害関係者だから信頼できない。

たいまつ食品では「大して効果のない特許」と説明

ちなみに、たいまつ食品の樋口氏は、その陳述書の中で、「切り込みを入れるという程度の、大して効果のない特許で数十億円も支払わなければならないということなら、伝統食品である餅の開発が大きく制約を受ける。特許は産業の振興や技術の発展のために与えられているものである。法外な金の請求に使われてしまうのなら、特許のせいで産業や技術の発展が阻害される」というかなり激しい表現で、越後製菓の特許の無効審判請求を自ら起こした理由を説明している。

一般論として、知財の訴訟では、証人の証言を裁判官はほとんど参考にしないという傾向がある。ただ、「事実認定に当たっては、証拠を総合的に判断するものである。提出している多くの証拠を2次訴訟で十分検討してもらえれば、サトウ食品の主張する事実関係が真実であることが分かっていただけるものと期待している」と、サトウ食品、きむら食品両社の代理人を務める、西村あさひ法律事務所の代理人弁護士らは言う。

「サトウ食品の1次訴訟の結果は重く、サトウ食品の2次訴訟も、きむら食品の訴訟も、越後製菓が有利」と見る知財専門家は少なくないが、サトウ食品もきむら食品も一歩も譲る気配はない。

たいまつ食品が申し立てた越後製菓の特許の無効審判は、特許庁の結果がどちらに転んだとしても、たいまつ食品か越後製菓か、結果に不服を持つどちらかが訴訟に持ち込むことになるだろう。切り餅大手3社vs.越後製菓の争いが決着をみるには、まだしばらく時間がかかりそうだ。

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

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いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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