サトウvs越後、切り餅訴訟が“飛び火"

業界3位、きむら食品も巻き込まれる

きむら食品が現在販売中の切り餅には、側面へのスリットはなく、上下面に十文字のスリットが入っているだけ

自社の特許を侵害するサトウ食品の特許の実施許諾をする決議の場で、星野氏が反対しなかったことや、3月26日の時点で自社の餅に側面スリットを入れ続けることに問題はないとの言質を取っていたこともあり、木村氏はその点に対する反論を求める文書を、内容証明の差出人である長岡の弁護士の事務所にFAXで送信。だが、その番号は解約されていて送信できず、簡易書留で郵送したがこれも受取人不在で返送されてきたという。

2012年12月25日になると、今度はサトウ食品の1次、2次訴訟の越後製菓側代理人である潮見坂綜合法律事務所から、「特許侵害の警告を繰り返し発し、和解協議も持ちかけてきたのに誠意のある回答がないので、67億円の損害賠償を請求する」という趣旨の警告書が突然届く。

その後、潮見坂との間では、内容証明郵便のやりとりが1回ずつ取り交わされ、今年の4月26日、67億円ではなく45億円で提訴されたというのが、きむら食品の認識する提訴までの流れだ。

きむら食品の直近年商は約77億円。45億円という金額はその6割に相当する。ちなみに賠償請求額の45億円は、越後製菓が特許登録をした2008年4月18日から09年12月31日のきむら食品の製品の売上高を104億円と推定し、それに対する不当利得分を実施料率3%で計算して算出した3億円に加え、10年1月1日~13年3月31日のきむら食品の製品の売上高を170億5000万円と推定し、それに対する利益率を45%、さらに側面スリットの寄与度(消費者は側面スリットが入っているからきむら食品の製品を購入したという、その割合)50%として算出した38億円、それに弁護士費用3.8億円を合計した金額である。

大手3社vs越後製菓の対立構造に

迎え撃つきむら食品の主張の柱は以下の4点。(1)きむら食品の製品は越後製菓の特許の技術的範囲に属さない。(2)越後製菓の特許出願前にサトウ食品が側面スリット入りの餅を発売し、自分はそれをイトーヨーカドーの店頭で購入しているので、越後の特許技術は「公知」であって無効。(3)県餅工理事会の場で再許諾に異議を唱えなかったにもかかわらず提訴をしたのは信義則違反。(4)越後製菓自身が承認していた、県餅工からきむら食品への実施料と比べて著しく巨額であり、そもそもこの特許が有する価値と比べて著しく巨額な請求であり不当だ。

サトウ食品の2次訴訟ではすでに200点を超える証拠が提出されており、開発プロセスに関する証拠や、側面スリット用の製造設備導入の経緯、1カ月で製造継続を断念した経過を示す証拠も多数含まれる。イトーヨーカドーとサトウ食品との間で、帳合い業者として関与した菱食(現三菱食品)の担当責任者が、2002年9月初旬時点で側面スリット入りの餅が完成、イトーヨーカドーに納入していたことを証言する陳述書も新たに提出されている。

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