鳥貴族だけが激安・均一戦争に大勝した意味 大手居酒屋優位の構造はこうして変わった

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三光MFは2011年1月に「全品270円均一」業態をやめて、ピザ600円などのメニューを導入した。この際看板から「全品」の文字を消し、「270円均一」に書き換えた。270円以外のメニューを投入したので、「全品270円均一」が不当表示になるからだった。三光MFは「全品」の文字をペンキなどで消したようだが、日中などに看板をよく見ると「全品」の文字が透けて見えた。

十分な準備もせずに慌てて作業したのがわかった。「全品270円均一」業態でただ一社本気で戦っていた三光MFが撤退したことで、張っていた風船玉がパーンと割れるように、激安・均一価格戦争はあっという間に終焉を迎えた。三光MFは先行者利益を得て「全品270円均一」業態の店じまいをした。だが、これに参戦した居酒屋チェーンの多くは、赤字に追い込まれ、迷走を始めた。

大手居酒屋チェーンの中で比較的均一価格業態に真面目に取り組んだのは、コロワイドであった。現在、居酒屋「甘太郎」「北海道」「いろはにほへと」「贔屓屋」など約25業態2080店舗(直営・FC)を展開している。

コロワイドは鳥貴族が東京に進出した2005年頃から「299円均一 うまいもん酒場えこひいき」をスタートさせた。当時運営していたのはコロワイド東日本(現コロワイドMD)で2010年4月末で不振店の業態転換、新店出店合わせて「えこひいき」を54店舗展開、さらに出店数を増やそうとしていた。

だが途中から出店数が鈍り、2011年1月、三光MFが「全品270円均一」から撤退した後は、「えこひいき」も全品299円均一をやめ、現在では「ハイボール・サワー199円」「居酒屋料理299円~」といった低価格居酒屋に転換している。店舗数も25店舗にとどまっている。

ワタミは均一価格戦争への取り組みが最も遅れた

ワタミは激安・均一価格戦争への取り組みが最も遅れた。当時会長の渡邉美樹は「激安業態はワタミには合わない」と、激安業態への進出に反対していた。これに対し当時社長の桑原豊は2010年7月に250円均一のメニューが7割を占める「仰天酒場和っしょい2」を立ち上げた。課金にプリペイドカードを使った半セルフ方式の最低価格の業態で、客単価1800円を想定した。東京・五反田に1号店を出店したが、プリペイドカードを使った課金方式がうまく機能せず、短期間で失敗した。ワタミではその後、タッチパネルで注文する「旨い屋」の実験店を開業したが、結局これもうまくいかなかった。

モンテローザは激安・均一価格戦争の時、2009年9月に「BIG焼鳥&熱々石焼268円厨房うちくる」を投入、三光MFが開業した「全品270円均一」業態より安く、最安値を売りにした。当時、モンテローザは全国に1500店舗展開(現在は2000店舗以上)、「そのうち1割の150店舗は『268円厨房うちくる』にする」と広報担当は話していたが、三光MFが「全品270円均一」から脱落すると、「268円厨房」も268円以外のメニューを増やし、低価格居酒屋の「268円厨房」として運営している。

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