市場は安定も、危機国の経済的疲弊は深刻化 景気・経済観測(欧州)

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シャッターの閉じた商店が続く(筆者撮影)。

ドラギ総裁のユーロ防衛宣言やOMTは、まさしく“ゲーム・チェンジャー”となったわけだが、危機国では今も危機が現在進行形で続いていることを忘れてはならない。5月に支援プログラムが開始されたキプロスでは、2大銀行の銀行預金者へのヘアカット(損失負担の強制)で、運転資金を失った多くの優良な中小企業が倒産に追い込まれ、失業者が急増している。実際に、街の至るところにシャッターの閉じた商店が目についた。

国民や政治リーダーの間には、キプロスが他国と平等に扱われておらず、無理な支援プログラムを押し付けられたとの不満や、ユーロ圏からの疎外感を訴える声も多かった。市場関係者の声と危機国の国民の声は、以前にも増して温度差が生じているように感じた。こうした温度差こそが、新たな危機の火種にならないか、日本への帰路につく飛行機の中で不安が頭をよぎった。

田中 理 第一生命経済研究所 首席エコノミスト

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たなか おさむ / Osamu Tanaka

慶応義塾大学卒。青山学院大学修士(経済学)、米バージニア大学修士(経済学・統計学)。日本総合研究所、日本経済研究センター、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券(現モルガン・スタンレーMUFG証券)にて日、米、欧の経済分析を担当。2009年11月から第一生命経済研究所にて主に欧州経済を担当。

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