市場は安定も、危機国の経済的疲弊は深刻化

景気・経済観測(欧州)

ドイツの議会選挙前の市場の動揺は封じ込め

ドラギ総裁がもたらした市場の安寧は容易に崩れそうにない。今回、面会した金融市場関係者の間でも、少なくとも9月のドイツの連邦議会選挙までは危機が封じ込まれるであろうとの見方が支配的だった。再選を目指すドイツのメルケル首相は、選挙戦前の市場の混乱を回避することを最優先するというのが、その理由だ。

現に7月8日に行われたユーログループ会合(ユーロ圏財務相会合)では、ギリシャで公務員の人員削減や国営企業の民営化が計画どおりに進んでいないにもかかわらず、30億ユーロ相当のギリシャ向け次回融資の支払いを承認した。

ギリシャ支援プログラムについては、国際通貨基金(IMF)が12カ月先までの財政資金の手当てが確保できていることを融資実行の条件とするため、支援継続に難色を示しているとの見方があった。また、いずれかの時点で追加の債務軽減措置が不可欠との見方も根強い。しかし、そうした問題点は今回の会合では不問に付されたわけだ。

このほかにも、ドイツ憲法裁判所によるOMTの合憲性判断、銀行同盟をめぐって条約改正が必要かどうかの判断、アイルランドやポルトガルの市場復帰に向けた部分的な支援提供の是非、キプロス支援プログラムの見直し協議など、ドイツの選挙戦後に結論が先送りされている事案は多い。

各国の政治リスクには引き続き警戒

では、この先、市場の安定を脅かす可能性がある出来事として、どのようなものが考えられるのだろうか。市場関係者の多くは、各国が抱える政治リスクへの警戒をにじませていた。

ギリシャではサマラス政権を支えてきた「民主左派党(DIMAR)」が連立を離脱し、「新民主主義(ND)」と「全ギリシャ社会主義運動(PASOK)」の2党連立体制は議会の過半数をわずか2議席上回っているにすぎない。支援継続には公務員の人員削減など各種の緊縮策や構造改革策を続ける必要があり、政権基盤の脆弱性が浮き彫りとなるおそれがある。

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