市場は安定も、危機国の経済的疲弊は深刻化 景気・経済観測(欧州)
欧州連合(EU)は一部国に財政健全化の達成年度の先送りを認めるなど、行き過ぎた緊縮路線から現実路線に舵を切っているのは事実だ。だが、各国が財政緊縮や構造改革に取り組んでいることに変わりがなく、目先の景気への下押し圧力は避けられない。景気の弱さが続き、危機国での失業率の上昇や不平等の拡大が政治的・社会的な緊張を高めることを警戒する声が多かった。
米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和縮小観測や新興国の景気減速が欧州の輸出活動に与える影響を懸念する声も多かった。一部の金融関係者からは、中国景気減速によるドイツの輸出活動への深刻な悪影響を警戒する声も聞かれた。こうした懸念は、近年のドイツの輸出拡大を牽引してきたのが、中国を中心としたアジア新興国向けだったことに起因する(図)。
一方で、失業率の低位安定や賃金が上昇傾向にあることを受け、ドイツでは内需部門に成長の牽引役が徐々にシフトしつつあり、深刻な影響は回避可能との見方も根強かった。
頼みの綱はドラギ総裁の市場との対話能力
財政の足かせと景気の自律回復力の弱さを背景に、金融政策への景気下支えを求める声は、今後も強まるとの見方が大半だった。
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