日経平均は夏場にかけて2万1000円超えも トランプにこだわると実像が見えにくくなる
財務省が公表している、輸出数量指数をみると、数量ベースの輸出前年比は、すでに2016年初めから徐々に持ち直しの動きを見せ始めていたが、プラスに転じることがだんだん増え、直近では2016年11月、12月と、2カ月連続での増加を記録した。これは、世界経済全般が次第に底固さを増す中で、日本製品に対する需要が盛り返していることを示している。
特に設備投資については、景気後退期には経営者が大きく削減し、逆に拡大期には一斉に攻めの姿勢に入るため、景気の振幅以上に変動が激しい。したがって、これからの世界景気が緩やかに持ち直す程度にとどまったとしても、日本の資本財、すなわち工作機械、ロボットや、それらを支える機械部品、電子部品等については、需要が大きく回復すると期待される。
実際、足元の決算発表をみても、安川電機、ファナック、キーエンスといった、輸出・設備投資関連の企業を中心に、収益見通しの上方修正が行なわれている。
「米ドル建て日経平均」の強含み推移に注目
ここで、米ドル建て日経平均の動きをみると、実は昨年7月末から今年1月下旬にかけては、おおむね160ドルと167ドルの間のボックス圏での推移だった。
つまり、おおざっぱに言うと、横ばいトレンドで動いてきたわけだ。基調が横ばいということは、日経平均が5%上がった局面では、円相場が対米ドルで5%下落し、両者が打ち消し合った、ということを意味する。別の言い方をすれば、日経平均が5%上がったのは、円相場が5%安くなったためであり、円安以外には日本株には何も良いことはなかった、ということだった。
ところが米ドル建て日経平均は、直近では一時170ドルを上回る動きをみせ、先週末でも168ドルと、これまでのレンジ上限であった167ドルを超えたままだ。
この動きは、日本株にとって、円安以外に好材料が出てきた、と市場が判断していることを示す。つまり、前述の、世界経済の持ち直しに伴い、日本からの輸出が数量ベースでの回復を鮮明にしつつある、という点を、国内株式市場が前向きに評価しているのだろう。
こうした明るい中期的な(今夏にかけての)株価の流れを見込むが、そのなかで今週はまだ短期的な気迷い局面も交えると考え、日経平均のレンジとしては、1万8900~1万9300円と、狭い範囲での値固めを予想する。
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