NECが大幅下方修正、富士通と分かれた明暗 構造改革に苦しんだ両社の差が開き始めた
「立てたばかりの中計の見直しもありうるのか」会見で記者に問われると「絶対変えない、ということはない。これから見極めていく」と新野社長は答えた。
記者からはさらに、「NECの通期見通しや中計には努力目標の数字が入りすぎているのではないか」といぶかる声も出た。これに対しては、新野社長は「計画の立て方に問題があるのかもしれない。これからは計画をきちんと立てていかないといけない」と述べている。
来期以降も低迷は続くのだろうか。川島CFOは「今期の一過性の影響を除けば来期は200億〜300億円程度増益となる」と説明する。すると来期の営業益は、今期の300億円から一過性の減益要因(200億〜300億円)を除いた500億〜600億円が最低線ということになる。その上に新規事業がどれだけ乗るかだが、今回の下方修正を考えると大きな期待はできないだろう。
NECの新野社長は就任直後、「週刊東洋経済」のインタビューで「今のNECは成長軌道にない」と断言。新たな成長軌道に乗るために新規事業の拡大を目指したが1年目からつまずいた。過去の延長線上では新たな成長軌道に乗れそうもない。他社から成長事業を買う必要もありそうだ。
「攻め手(=成長部門)を増やさなければいけないのではないか」と記者に問われ、新野社長は「当然M&Aもある」とした。ちなみに、経営危機に陥っている東芝の半導体事業については「興味がない」と答えている。
全セグメントで黒字を確保する富士通
翌1月31日。同じくIT大手の富士通が第3四半期の決算を発表。営業利益は632億円(前年同期は16億円)と大幅に拡大した。
主力のICTサービスが順調に推移している。パソコンや携帯電話などの「ユビキタスソリューション」も黒字化。全セグメントで通期の黒字を確保できる見通しだ。LSIや電子部品の「デバイスソリューション」を除く全セグメントが増益となる。
通期1200億円の営業利益見通しは前期と同水準だが、これは前期より35億円多い450億円の事業構造転換費用を計上するのが前提だ。同費用は将来を見据えた先行投資的な意味合いがある。
同費用を除けば今期は実質増益であるほか、第3四半期までで74億円(前年同期比101億円減少)しか同費用はかかっていない。通期で計画する450億円を下回れば、その分だけ営業利益が上振れる可能性もある。
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