円安恩恵を受ける企業と受けない企業の大きな差
大企業製造業のDIがプラスになった原因は、円安が進んだため、輸出企業を中心に利益が増加したことだ。なおこの背景を、「輸出の回復」としていた報道が多いが、輸出量は減少していることに注意しなければならない。円安によって、円建ての輸出価額が増加しただけのことだ。他方で中小企業は、円安の恩恵をあまり受けない。DIがマイナスなのは、そのためだろう。
大企業非製造業のDIがプラスになるのは、建設、不動産の影響が大きい。これは消費税引き上げ前の駆け込み需要のためと考えられる。だからアベノミクスの効果ではない。
13年度の経常利益(計画値)の前年度に対する増加率を見ると、全規模では、全産業5.2%、非製造業1.2%であるのに対し、製造業が11.9%となっている。輸出産業を中心として製造業が利益を伸ばしているのが分かる。
ただし、その傾向が著しいのは大企業である。製造業を規模別に見ると、大企業が14.6%(うち素材産業6.0%、加工産業18.8%)、中堅企業が3.4%、中小企業が6.1%だ。規模によってこうした著しい差が生じるのは、円安による売上増を享受できるのが主として大企業であること、円安による原材料価格高騰の影響を受けるのが中堅、中小企業であることを示している。
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