住宅ローンは「年収」を基に借りてはいけない 初めて家を買う人は結構失敗している
平均的な相場として、もし幼稚園から大学まですべて公立で通した場合は1人当たり1000万円前後、中学から私立に通った場合で1500万円前後かかるという統計があります。子どもの進路によって500万円の差が出るわけです。これを仮に20年にならしてみると、1年当たり25万円の違い(=500万円÷20年)になります。
「借りられる額」を目いっぱい借りると生活が苦しくなる
この25万円の差を、先ほどの「住宅ローン返済比率25%以内」とあわせて考えてみましょう。子どもが生まれたからといって、いきなり学校に通うわけではないので、どうしてもイメージをしにくいのですが、「子どもにかかる平均的な教育費は1000万円程度」を前提とすると、もし教育費が1500万円かかるなら、普通の夫婦よりも20年間、毎年25万円違ってくるわけです。もちろん、生活や教育の水準をどうするかにもよりますが、この場合、「1年あたりのローン返済額を25万円減らして、100万円以内に抑える」という選択をする必要があるかもしれません。
仮に単純に25万円を引いて「返済額は年間100万円以内」とすると、借り入れの上限額は2400万円程度となります。このように、「子どもがいる」「私立に通わせる可能性がある」などとブレークダウンして、具体的な数字を出してみると、子どもの進路の差が借り入れ可能額にも大きく影響することがご理解いただけると思います。
上述のように、実際には、他の出費を切り詰めたりするなどして、家計のやり繰りを考えるわけですが、教育費があると、ローンの借り入れ総額へのインパクトは小さくありません。クルマの購入などでも同じです。単純に年収からだけで計算した「△△万円まで借りられる」を鵜呑みにせず、実際にご自身の家計で試算をしてみることが大切です。
もちろん、最近はライフスタイルの多様化により、結婚しても子どもを持たない選択をする方もいます。ただ当初は子供を持たない予定でも、将来は事情が変わる可能性だってあります。
現在の状況だけを考えて、少し余裕があるからといって目いっぱい借りてしまうと、将来のライフプランの幅を狭めることになるかもしれません。多少のゆとりを持たせ、その分を貯蓄などにまわし、選択肢を残しておくこともひとつでしょう。
「子どもを持たない方針だが、生まれてもいいように余裕を持ってローンを借りた。でも結局子どもを持たないことになった」という場合は、そのおカネは、将来他のことに使えるわけですから、損というわけではないですね。長い人生、何があるかわかりません。住宅ローンは1度決めたら中長期にわたるということを踏まえ、計画を立てておきたいところです。
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