45兆個の「センサー市場」は日本の独壇場だ シェア50%超!IoTは日本の救世主になる

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担当者に伺ったところ、将来的にはこのロボットを1台100万円以下で売りたいという。これは恐るべきことだろう。食品メーカーの経営者や工場の責任者なら、間違いなく買うはずだ。人間は休んだり食べたりする必要があるが、ロボットなら24時間フル稼働で働ける。しかも命令には絶対服従するし、文句も言わない。それがわずか100万円以下で買えるとすれば、人件費を大幅に抑えることもできる。もはや人間との置き換えに走らない工場はないだろう。ついでに言えば、これらの作業ロボットは決して労働組合を作ったりはしないだろう。

ロボットも日本メーカーの独壇場

あるいは介護支援ロボットも、IoT時代に期待される分野である。高齢者の世話はとにかく力仕事だ。風呂やトイレに連れて行くだけでも一苦労する。まして最近は「老老介護」も少なくないため、介護する側が疲れて体を壊してしまうこともある。

それをロボットが代替してくれるとすれば、助かる人は少なくないはずだ。

1つのイメージとしては、ソフトバンクが提供している人形ロボット「ペッパー」の進化系のような姿が考えられるだろう。単に移動を手助けするだけではなく、「おじいちゃん、きょうは元気?」とか「今、お茶を入れるからね」などとリアルなコミュニケーションを図りながら作業するわけだ。これからいよいよ高齢世代が増え、現役世代の負担増が避けられないだけに、開発も急ピッチで進むだろう。

では、そんなロボットの世界シェアはどうなっているか。実はこれも、日本メーカーが60%を占めている。今のところ、ロボットマーケット自体はまだ小さく、せいぜい1兆5000億円程度しかない。しかし筆者の予想では、東京オリンピックが開かれる2020年の時点で10兆円程度にまで拡大している可能性がある。それほど成長著しい分野ということだ。

しかも、精緻なロボットの開発は極めて難しい。人間と同じ動きをすると考えれば、これは容易に理解できるだろう。ちょっと指先や腕を動かすだけで、かなりの数の筋肉と骨、神経が動いている。それをロボットで再現するわけで、中国や台湾勢などこれまで単純な組み立て加工を得意としてきた勢力にはとても太刀打ちできないはずである。

過去の産業革命がそうだったように、IoTによる革命も1~2年で成し遂げられるものではない。おそらく今後、20年ほどかけて着実に進んでいくだろう。

最終的に、そのマーケットはどれくらいの規模に成長するか。現在、世界で最も大きな産業はエネルギーで1300兆円。内訳は石油が600兆円、石炭が200兆円、天然ガスが300兆円、原発が200兆円となっている。2番目は医療で560兆円、3番目は食品で360兆円、4番目は自動車で300兆円、5番目はエレクトロニクスで150兆円と続く。

いずれにも共通しているのは、社会インフラであるということだ。エネルギーや医療や食品がなければ、人間は死んでしまう。交通手段や電気機器を持たなければ、私たちは生活できない。だから、いずれも巨大なマーケットを形成しているのである。

では、IoTの市場規模はどれくらいになるのか。筆者の見立てによれば、360兆円程度になると思われる。この予測が正しいとすれば、今の自動車を超える巨大なマーケットになる。そして、その巨大マーケットにおいて、日本企業が持つ技術の優位性は極めて高い。したがって、このマーケットの主役は間違いなく日本になる。IoT社会の到来は、日本にとって強烈な追い風になるのだ。

泉谷 渉 ジャーナリスト

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いずみや わたる / Wataru Izumiya

株式会社産業タイムズ社代表取締役社長。神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。1977年産業タイムズ社に入社、1991年に半導体産業新聞を発刊、編集長に就任。現役最古参の半導体記者としてキャリア35年を誇る。日本半導体ベンチャー協会理事としても活躍。主な著書に『これが半導体の全貌だ!』『これがディスプレイの全貌だ!』(以上、かんき出版)、『ニッポンの素材力』『ニッポンの環境エネルギー力』『1秒でわかる!半導体業界ハンドブック』『1秒でわかる!先端素材業界ハンドブック』『素材は国家なり(共著)』(以上、東洋経済新報社)、『日の丸半導体は死なず』(光文社)、『100年企業、だけど最先端、しかも世界一』(亜紀書房)などがある。

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