45兆個の「センサー市場」は日本の独壇場だ

シェア50%超!IoTは日本の救世主になる

では、これほどの伸びが期待できるセンサーの世界シェアはどうなっているか。実は、50%以上を日本メーカーが占めている。日本人の気質を考えれば、これは当然だろう。

指先の細かな動き、五感の鋭さや繊細さにおいて、日本人に勝てる民族はいない。そういう微妙な差異を見分けるセンサーが時代の主役になることは、日本にとって独壇場の時代の到来を意味するわけだ。センサーの世界市場は現状でまだ3兆円程度であるが、ここ数年のうちに10兆円を超えてくることは確実だろう。

たとえば、人間の目に相当する半導体に「CMOSイメージセンサー」というものがある。身近なところでは、私たちが普段使っているスマホやデジカメには必ず搭載されているものだ。シャッターを押すたびに作動し、昨今なら1500万~2000万という画素数で画像を取り込むのである。あるいは防犯カメラや産業用ロボットなどにも使われている。

では、このCMOSイメージセンサーを作っているのは誰か。実は、世界のスマホの約6割、デジカメの約8割、その他のCMOSイメージセンサーを搭載している機器の5割以上はソニー製だ。ほぼ独占市場といってもいいだろう。サムスンも米国勢もチャレンジはしているが、ソニー製にはかなわない。それだけ、ソニーは卓越した技術を持っているということだ。

イメージセンサーはソニーの独壇場に

そのすごさを示す典型例が2つある。1つは1億画素のCMOSイメージセンサー、もう1つは0.005ルクスでも見えるCMOSイメージセンサーだ。「1億画素」とは、1000メートル離れた人間の顔でさえはっきりと写し出す能力だ。また「0.005ルクス」とは、月も出ていない真っ暗闇の状態を指す。もちろん、いずれも肉眼では何も見えない。それがソニーのCMOSイメージセンサーなら見通せてしまうのである。それもぼんやりとではなく、色も形も明確にとらえる。

つまり、ソニーのCMOSイメージセンサーは人間の目を完全に超えたということだ。たとえば、これを防犯カメラに搭載すれば、犯罪は10分の1に減るとまでいわれている。あるいはアメリカのFBIが採用すれば、検挙率は50倍に達するかもしれない。

ましてIoTの時代になれば、CMOSイメージセンサーの重要度はいっそう増す。いよいよソニーの独壇場になっていくわけだ。この分野でソニーに続くメーカーといえば米国のオムニビジョン、韓国のサムスン、同SKハイニックスなどがあるが、技術開発水準さらには量産のための設備投資という点ではとてもソニーには及ばない。

また「見る」だけではなく、「触る」のセンサーも日本は強い。たとえば血圧センサーといえばオムロンが断トツで、世界で約6割のシェアを持っている。あるいは、温度センサーの分野で世界トップを独走しているのが、「CHINO(チノー)」という売上高200億円程度の小さな会社だ。同社が世界の温度の標準を決めているのである。

そしてもう1つ、IoT時代に欠かせないのがロボットだ。単純にいえば、これまで人間が行ってきた作業を、次々とロボットが担うようになるのである。

たとえば先日、筆者は京浜工業地帯のある工場で、作業支援ロボットの試作機を見学させてもらった。これまで手作業で行ってきた食品加工の一工程を代替するもので、作業のスピードも品質も手作業と何ら変わらない。作業者と交代したり、複数の作業者に交じって作業したりすることも可能だ。

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