親知らず、「抜くか」「抜かないか」の境界線 無理に抜歯しなくてもいいケースもある

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3.きちんと生える見込みがない場合

親知らずが歯茎から出ていても倒れて埋まっていたり、スペースが足りずに生えきらない場合は、後にトラブルが起こる前に早めに抜くことを勧めます。

4.歯並びを悪くしてしまう場合

親知らずが傾いて埋まっている場合、隣の歯を押して歯並びがずれてしまうことがあります。このような場合には抜かなければ歯並びがどんどん乱れてしまいます。

口の中に悪影響を与えている場合も要注意

5.口の中の粘膜や顎関節にダメージを与えている場合

親知らずがきちんと生えていて虫歯がなくても、向かいの親知らずが生えていないなどの理由でかみ合わない場合、向かいの歯茎をかんでしまったり、頬粘膜を傷つけ、口内炎を作る原因となります。また、親知らずが生えていることで顎関節にダメージが加わることがあります。

6.口の中の清掃状態が良くない場合

歯磨きがきちんとできていない人は、親知らずが後に痛みや腫れなどのトラブルを起こす危険性が高いため、トラブルのないうちに抜いておいたほうが良いといえるでしょう。

親知らずに痛みがあっても、必ずしも抜かなければならないわけではありません。親知らずは完全に生えきるまで数カ月かかることも珍しくなく、その間歯茎の炎症を起こしたり、隣の歯を圧迫することで時々痛みを出すことは多かれ少なかれあります。

ただ、その親知らずがその後きちんと生える見込みがあり、本人がしっかりと親知らずの周囲を歯磨きするなど、清潔に保っていけるようであれば、親知らずを無理に抜く必要性はありません。むしろ抜歯せずに残しておくことで、将来、他の歯がダメになった場合に移植に利用したりすることもできるため、最近では「残せる見込みのある親知らずは残す」という姿勢の歯医者さんが多いようです。

個人個人の置かれている状況によっても判断基準が変わってきますので、親知らずが痛いときは一度、歯医者で診てもらいましょう。

小林 保行 歯科医師/キーデンタルクリニック院長

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こばやし やすゆき / Yasuyuki Kobayashi

2004年東京歯科大学歯学部卒業、表参道の総合歯科医院に勤務。2006年市谷の歯科医院にて副院長として勤務。2008年に赤坂見附駅から徒歩1分の場所にキーデンタルクリニックを開院しました。開院以来、「確かな技術で納得の治療を」モットーに、あごや歯の場所を細かく分析をし、歯だけでなく口回りを総合的に診断。現在はムシバラボというサイトを立ち上げ、歯や口周りの情報を発信。主な資格はDHA岩田セミナー認定医、総合治療セミナー「一の会」認定医、クリアアライナー矯正認定医、日本顎咬合学会所属、日本インプラント学会所属、消防庁認定、救命技能講師修了。

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