「微妙」という日本語に隠された本当の意味 この言葉は優しさを帯びている

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しかし、ここでさらにお伝えすべきことがあります。実は、この「微妙」という言葉は、元々仏教用語だったのです。この事実を知っている人は少ないと思います。

通常、私たちは「微妙」を「びみょう」と読みますが、仏教用語として「みみょう」と読みます。そして、「言葉では言い尽くせないくらい不思議で奥深く素晴らしいこと」を意味するのです。

実際にさまざまな仏教経典をみてみると、人間の知識では理解することのできない不思議さや素晴らしさを表す語として使用されています。では、この不思議さや素晴らしさが指すものは何かというと、「法(ダルマ)」といわれる真実、つまり仏の教えです。つまり、深い感謝の気持ちを表す言葉だったのです。

婉曲的に気持ちが伝わる優しさ

ここで再度今日の「微妙」の意味をみてみると、仏教用語である「微妙」が、私たちの日本語の日常用語として使われるようになり、時間やさまざまな過程を経て今日のような語意に変化したということがよくわかります。

仏教用語の意味とほぼ一致する第一の「趣深く、何ともいえない美しさや 味わいがあること」の意味から、第二の「ひと言では言い表せないほど細かく、複雑なさま」に変化し、さらに第三の「きわどくてどちらとも言い切れないさま」、最終的に「よくわからない」という意味に変化を遂げたのだと推察できます。

しかしここで思うことは、「微妙」という言葉が今日では本来の意味とは異なる否定的な気持ちを表す言葉になったとしても、「婉曲的」にその気持ちが伝わる優しさを帯びているというのは、やはりこの言葉が仏教思想に根付いていからではないかと思います。

忘れがちな原点を知ることで、また別の世界が今という時間に開かれるような気がします。普段当たり前のように使う日本語の語源の面白さ、そしてその日本語に浸透している奥深い精神の素晴らしさを感じてみてはいかがでしょうか。

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大來 尚順 浄土真宗本願寺派僧侶

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おおぎ しょうじゅん / Shoujun Oogi

1982年、山口県生まれ。浄土真宗本願寺派僧侶でありながら、通訳や翻訳も手掛ける。龍谷大学卒業後に単身渡米。カリフォルニア州バークレーのGraduate Theological Union/Institute of Buddhist Studies(米国仏教大学院)に進学し修士課程を修了。その後、同国ハーバード大学神学部研究員を経て帰国。帰国後は東京と山口県の自坊(超勝寺)を行き来しながら、僧侶として以外にも通訳・翻訳、執筆・講演などの活動を通じて、国内外への仏教伝道活動を実施。翻訳著書も多数出版する傍ら、初級英語で仏教用語をやさしく解説した「英語でブッダ」(扶桑社)も非常に好評のほか、「お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺」(テレビ朝日系列)にも出演。
 

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