「微妙」という日本語に隠された本当の意味 この言葉は優しさを帯びている
しかし、この「微妙」という言葉をよく考えるみと、私たちは日常生活のさまざまな場面で複数の意味を使い分けていることに気がつきます。この機会に「微妙」の複数の意味を整理してみたいと思います。
多様な意味
国語辞典で調べてみると、第一の意味に「趣深く、何ともいえない美しさや味わいがあること」とあります。第二に「ひと言では言い表せないほど細かく、複雑なさま」、第三に「きわどくてどちらとも言い切れないさま」、第四に「少し」という意味が続き、最後の第五の意味として今日の私たちの大半が使っている「否定的な気分の婉曲的表現」があります。この第五の意味の場合は、カタカナで「ビミョー」とも書くこともあるようです。
こうして整理すると、2つのことに気がつきます。1つ目は、今日の私たちが主に使っている「微妙」の意味は、第三の「きわどくてどちらとも言い切れないさま」、もしくは第四の「少し」、第五「否定的な気分の婉曲的表現」であること。それぞれ英語にしてみると意味の違いがより明確になります。
第三「きわどくてどちらとも言い切れないさま」=「I am not sure./It’s unclear.」。
第四「少し」=「A little bit」。第五「否定的な気分の婉曲的表現」=「That's a bit iffy./It’s touchy」となります。
日本語を話す側からすると、「微妙」は複数の意味を1単語で表現できるので、非常に便利な言葉だと思います。そして、日頃、無意識に複数の意味を使い分けて会話しているのが今日の私たちです。また、話し手と聞き手の相互理解がないと会話は成立せず、実は凄いことでもあるのです。しかし、これを英会話にすると非常にやっかいなのです。きちんと意味を整理していないと、表現も異なるわけですから、英会話は成立しなくなってしまいます。
そしてもう2つ目の気づきは、私たちは「微妙」という言葉を、第一の意味にある本来の物事の素晴らしさを表現する言葉として使っていないことです。今日では、「微妙」という言葉の意味の一番奥底になる意味を、天辺にひっくり返して使っていることに面白みを感じます。
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