日本人が何気なく多用する「合掌」本当の意味

海外から見た「亡き人と話す」不思議な光景

日本独自の習慣です(写真:KAORU / PIXTA)
浄土真宗本願寺派僧侶でありながら、通訳や翻訳も手掛ける大來尚順氏による連載『訳せない日本語~日本人の言葉と心~』。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボによりお届けする。

日本独自の合掌

昔、アメリカのカリフォルニア州バークレーという街で研究と英語漬けの学生生活をしていた時、私には唯一の楽しみがありました。それは、毎週土曜日の夜に放送されていた日本のドラマを観ることでした。

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すでに日本で放送され終わってから2年は経過したドラマでしたが、私にとっては肩の力を抜いて過ごせる唯一のリラックスタイムでした。当時、『世界の中心で愛を叫ぶ』というドラマが放送されており、英語のサブタイトルも付いていたので、アメリカ人の友人と寮にあるテレビにかじり付いて観ていました。

このドラマのあるシーンで、母親役である女性が息子役の主人公の青年に「じいちゃんと相談しなさい」と伝え、息子は仏壇の前に座ってお焼香をし、合掌しながら、亡くなったおじいさんと会話するかのように、悩みを語りかけるというシーンがありました。私はごく自然なことだと思い、何気なく観ていました。すると、ドラマが終わった後、一緒に観ていた友人がそのシーンだけがまったく理解できなかったと言いはじめたのです。

彼の質問は、2つありました。1つは、ドラマの青年を含め、日本人はさまざまな場面でよく掌を合わせる動作をするのはなぜなのか? もう1つは、なぜ掌を合わせながら仏壇を通して亡くなった方を話すことができるのか、ということでした。洞察力に富んだおもしろい質問をするなと、私は感心したのを覚えています。

(注:ここでは日本人が何気ない習慣として手を合わせる場合に「手」、仏教的な意味を含んで手を合わせる場合に「掌」という漢字を使用しています)

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