海外でオマーン人のGMはたったひとり
――ところで、オマーン人でホテルの総支配人って、結構いらっしゃるのでしょうか。
五つ星の国際ホテルを運営するオマーン人の総支配人がオマーンにはいますが、海外では私ひとりでしょうね。オマーンはそう大きな人口の国ではありません。世界に観光の門戸を開いたのも最近だし、ホテルも最近です。
――あまり知識がなくて申し訳ないのですが、オマーンってどんな国でしょうか。
世界中を飛び回りましたが、母国は誰にとっても特別な場所ですよね。それでもあえて言えば、オマーンに行くのはお勧めですよ。日本同様に安全です。オマーン人はおもてなしが文化の中に根付いていて、家にお客様を迎えることが文化として確立しています。自然がたいへん美しい国です。ビーチは手つかずで、海にはイルカ、クジラも泳いでいるし、山も美しく、中東のほかの国とまったく違う。
――小さな国からグローバルに活躍するというのは、日本人のロールモデル(見本)となるかもしれませんね。
私はホテルが大好きですし、ホテルで仕事をすることも大好きです。移動がすごく多い人生だったので、旅行することが人生の一部でしたし、ホテルが自分の人生の一部だったと思っています。もともとはホテルで働くなんて考えたことはなかったのですが、なぜかいつもホテルに引き付けられるんですね。
ロールモデルかどうかはわかりませんが、私たちのチームにはホテルの経験をたくさん積んだすばらしい人間が集まっています。好奇心が旺盛で、非常にワクワクする気持ちを持って人と話をしたり、そういう思いにあふれた者が集まっております。
――外資系のホテルでは、日本人であっても従業員がチームでいろんなブランドホテルを渡り歩いて出世する傾向がありますね。せっかくのいいスタッフも、新しいホテルができれば去っていくリスクもありますよね。
ご指摘のリスクはどのビジネスにも言えることです。ただ、会社が従業員をどのように扱うのかは、おそらく従業員が会社へのロイヤリティをどれだけ持つかに関係してくると思っています。このIHGという会社は、従業員に成長の機会を提供する会社です。私の話をさせていただくと、26年前の自分のキャリアの始まりはキッチンの掃除の仕事でした。今は世界中でいろいろな国で総支配人をさせていただいている。
もちろんいろいろなホテルからスタッフが集まっていますが、成長の機会をもっともっと与えていきたいと考えています。スタッフに成功の場を提供して、多くの人が今後も当グループの中でキャリアを築いて残っていただけるようにしていきたいと思っています。
(撮影:ヒラオカスタジオ)
筆者が手掛けた東洋経済オンラインのホテル連載が、電子書籍「1泊10万円でも泊まりたい ラグジュアリーホテル 至高の非日常」(小社刊)になりました。10万円以上するような部屋に泊まりたいと思わせるラグジュアリーホテルの魅力とはいったい何なのか。厳選9ホテルの総支配人たちが大いに語っています。
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