ヤフオクが象牙取引を取り締まらない理由 日米ヤフーに対応の差
先の環境省の担当者は「まっとうな商売している人や、普通に出品している人がいわれなき批判を受けて、その市場を閉じることには反対だ」と語る。
ヤフーも手をこまねいているわけではない。あるヤフー関係者は「うちの弱みは数字を取っていなかったことだ」と述べ、批判に対して反論できる材料を取るためNGOと提携し、外部の目でチェックしてもらう仕組みを導入することを明らかにした。
「たとえば抜き打ち検査で違法出品の数や比率を調べてもらって、その数字を毎年公表する。数字が上がったら対策をとり、数字が下がったら現在の対策が有効だという仕組みを取り入れたい。自分達で検査するとお手盛りという声が出てくるので、第三者の厳しい目でチェックしてもらう」という。
この関係者によると、現在ヤフーは月3万件程度をパトロールして、このうち違法取引は数件程度あるという。
さらに生息国における保全の取り組みへの経済的支援も検討。具体的には野生生物の密猟対策活動を支援するために寄付を予定している。
日米ヤフーで意見対立、議論は継続
関係者によると、米ヤフーのマリッサ・メイヤー最高経営責任者(CEO)は象牙取引に対する懸念をヤフーの宮坂学社長や取締役に幾度となく伝えているが、議論は平行線のままだ。
ロイターの問い合わせに対して、ヤフーの広報担当者は米ヤフーと象牙の取り扱いに関して継続的に議論していることを認めたが、内容については明らかにしなかった。
象牙取引をめぐっては、楽天<4755.T>もヤフーと同様のポリシーで運用しているが、「現在、全形の象牙は出品されていない」(広報担当者)という。
象牙市場閉鎖をかたくなに拒むヤフー。先の関係者は「インターネットの良さは小さいマーケットとか、端っこの方にいた人達も取引に参加できるところにあり、そこを殺してしまうと良さがなくなってしまう」と話す。
(志田義寧 取材協力:ティム・ケリー、デボラ・トッド)
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