象牙規制、中国の「転向」で日本が非難の的に 甘い在庫管理、「床の間象牙」把握できず
[東京 17日 ロイター] - 日本の象牙取引が国際的な非難の矢面に立たされている。野生生物保護団体は日本政府が取引を容認していることが、ゾウの密猟を誘発していると批判。その矛先はオークションで取引の場を提供しているヤフー<4689.T>にも向かっている。
日本政府は規制強化に乗り出したが、象牙市場の年内閉鎖を打ち出した中国とは対応に隔たりがあり、対日非難が静まるかは、なお不透明だ。
中国象牙禁止で日本孤立イメージ
象牙取引をめぐる国際世論の中で日本が窮地に陥っている背景には、密輸大国と非難されてきた中国の「転向」がある。「全形の象牙の在庫を多く保有しているのは日本と中国だけ」(NGO関係者)という状況が続く中、中国はさらに一歩進め、昨年12月30日、今年末までに商業目的の象牙の取引を全面禁止すると発表した。
中国はこれまで禁止の方針だけを示していたが、実施時期を明確にしたことで、残る問題国は日本だけという見方が広がりかねない情勢になってきた。
「象牙はクジラほど政治のサポートがない」──。象牙問題に関わるある関係者はこうぼやいた。水産庁が国際対応を取り仕切る捕鯨問題と異なり、象牙問題は環境省、経済産業省が責任を押し付け合い、それが日本の主張が国際社会に届きにくい要因のひとつになっているとの見方も少なくない。
関係者によると、こうした状況に危機感を持った外務省は昨年、ヤフーに接触。ヤフーは昨年3月に世耕弘成内閣官房副長官(当時)に官民協議会の設立を持ちかけ、ようやく国を挙げての体制構築にこぎつけた。初会合が開かれたのは、象牙の国内取引禁止勧告が決議された第17回ワシントン条約締約国会議(COP17)のわずか4カ月前のことだ。