象牙規制、中国の「転向」で日本が非難の的に 甘い在庫管理、「床の間象牙」把握できず
約2095トンのうち、登録制度が導入された1995年から2015年までに登録された全形象牙は累計305トン。では残りの約1790トンはどこに消えたのか。一部は印鑑などに化けた可能性が高いが、いまだ登録されないまま押入れの奥に眠っていたり、床の間に飾られていたりするケースも多いという。
一部の野生生物保護団体は象牙の登録本数が年々増加していることから、この中に密輸された象牙が紛れ込んでいる可能性が高いと批判。これに対して、日本政府はこれまで表に出てこなかった「床の間象牙」が相続等で表に出てきているにすぎないと反論している。
疑惑を晴らす努力が必要
環境省の担当者は「床の間象牙や押入れ象牙がどの程度あるかわからない。そこがわれわれが批判されるときに残念ながら弱いところだ」と認めている。
あるNGO関係者は「在庫管理に不備があるから、それが合法的なものなのか、密輸されたものなのかでもめる。政府も合法的と主張するだけでなく、管理を強化するとともに、抜き打ちで象牙の年代鑑定をするなどして疑惑を晴らす努力をする必要がある」と話す。
官民協議会が昨年9月にまとめた報告書によると、税関が象牙と象牙製品を差し止めた件数は年間数件程度にとどまっており、その大半が禁止を知らずにお土産として持ち込んでしまった「うっかり輸入」という。こうした状況を踏まえ、報告書は「大規模な密輸入は確認されていない」と結論付けている。
関係者によると、環境省は20日召集の通常国会に、現在、届出制の象牙取り扱い業者を登録制にすることなどを盛り込んだ「種の保存法」改正案を提出、監視の強化を図る方針だ。野生生物保護団体は「一歩前進」と評価するが、求めているレベルには程遠く、引き続き規制強化を求められそうだ。
(志田義寧 編集:北松克朗)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら