トランプ新大統領、情報戦略に見る「致命傷」

ツイッターで発信、後に発言修正は危うい

これにプーチン・ロシア大統領は対抗措置を見合わせた。そしてトランプ氏は翌30日、「プーチン大統領がすばらしい対応をした」「私はいつも彼がとても賢いと知っていた!」と、ツイッターでつぶやいた。さらに続く31日には「ロシアではなく他の誰かがやった可能性もある」「みんなが知らない情報を持っている」とも述べた。数日中にその内容を公表する考えを明らかにしたとの報道もあった。

ここまでの時点でトランプ氏の発言はすでに問題だ。オバマ氏の発表が正しく、トランプ氏が間違っていた、というのではない。

情報の世界は古今東西を問わず恐ろしい。真実もあれば虚偽もある。確かめようにも本当に信頼できる方法はほとんどない。暗号を解読しても100%安心はできない。意図的に虚偽の情報が流されることもある。だから情報を扱う場合、慎重のうえにも慎重を期さなければならない。自分が持っている情報を重視するのは結構だが、大事なことは、それが完全に正しいとは限らないため、簡単には行動に出ないことだ。

サイバー攻撃を認めたのは無様だった

こんな説教めいたことは普通の人にはもちろんいらない。しかし、プーチン大統領を擁護したトランプ氏の発言には、こんなことを言わざるをえない側面がある。

トランプ氏の発言が思慮を欠いたものだったことはすぐに証明された。情報当局から詳細な説明を受けたトランプ氏は、1月11日の記者会見で、サイバー攻撃は「ロシアがやったと思う」と認めた。この重大な問題について、わずか10日間で認識を変えたのだ。思慮を欠いた行動をしなければ、そんな無様なことにならないで済んだはずだった。

結果的にトランプ氏は、世界に向かって、ロシアに非があったことを喧伝することになった。もともとロシアのサイバー攻撃を批判してきたのであれば、今回認めたことに特別の意味はないかもしれない。が、トランプ氏はロシアによるサイバー攻撃を認めていなかったのに認識を変えたので、よけいに目立ってしまった。それももうすぐ米国の新大統領に就任するというタイミングでだ。

しかも思慮を欠いた行動をするだけでなく、ロシアに対して特別に友好的であることを示したことも、問題だった。トランプ氏は米国を重視し(これは当然)、その反面で各国に対しては、いわゆる同盟国も含め、「まず攻撃、後で必要なら修正」というパターンで臨む。ところがロシアに向かっては、「まず擁護、後で修正」という姿勢をサイバー攻撃問題で示した。他にシリア問題の場合でも、「まずロシアを擁護」だったが、こちらは後で修正されていない。

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