国内ユニクロ、再成長のカギは「物流改革」だ ECは2ケタ増だが、翌日配送を実現できず

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ユニクロではベーシックな商品が多いため、ECとの親和性が高い。今期はECの売上高を前期比4割増、売上高に占めるECの比率は前年の約5%から7%超に高めていく方針だ。将来的にはEC比率を30%まで向上させる目標もある。そこで重要になってくるのが、物流改革と即日発送の実現に向けた次世代型物流倉庫の本格稼働だ。

本社から約1000人が移動

東京・有明。レインボーブリッジの程近くにユニクロの首都圏向け物流倉庫はある。2016年に稼働、現在は店舗でどんな商品が売れているかだけではなく、どんなお客がどんな商品を購入しているのか、顧客ベースで購買履歴を把握できるように転換中だ。

東京・江東区有明の次世代物流倉庫。周辺整備も急ピッチで進む(記者撮影)

柳井正会長兼社長の肝いりである一連の物流改革は、「有明プロジェクト」と名づけられる。2月上旬にはユニクロの商品や情報部門に該当する約1000人の従業員が倉庫の最上階に移転、倉庫の上に国内ユニクロの本部が陣取ることになる。

だが、現状で有明倉庫は本格稼働に至っていない。9月~11月のECの売上高は前年同期比11.3%の増収だったが、伸び率は前年同期よりも鈍化した。これまで行っていた翌日配送のサービスを一時中止したことが要因の一つだ。欠品リスクが高まったことにより、購入したお客に対していつ配達されるのか、配送期間を明確に示せなかった。「自然体で行けば3割は伸ばせた。昨年までは翌日配送がうまくいったが、今年は物量が増えて対応しきれなかった」(岡﨑CFO)。

現在、「初トク新年祭」のセール中のユニクロオンラインストアでも、「最短2日から1週間でのお届け、予想を超える注文を受けた場合には1週間から10日かかる場合がある」旨が記載されている。今後は配送の短縮化を図り、春からは安定的に配送できる体制を整備していくという。

ECを伸ばすために物流の高度化は必須だ。同社では2017年中を目標にできるだけ早く即日配送を実現させる計画。ただ実現のハードルは決して低くない。有明プロジェクトの成否が、今後の国内ユニクロ事業の命運を握っているといえるだろう。
 

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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