ユニクロ、「感謝祭」でも物足りない回復度 大型セールでも消費低迷を跳ね返せず
大型セールの効果はいま一歩だった。
ファーストリテイリングは2日、衣料品店「ユニクロ」の11月の国内既存店売上高が前年同月比7.3%増だったと発表した。前年同月比でプラスになるのは4カ月ぶり。先月は1カ月間を通して気温が低く、オーバーサイズのニットやダウンなど、比較的高単価の商品、重衣料が牽引した。
ユニクロでは毎年11月、大型セール「感謝祭」を実施している。11月と12月はユニクロにとって売り上げ規模の多い月で、感謝祭セールは「会社の総力を挙げて取り組む」(ファーストリテイリングコーポレート広報部)。それだけに11月の売上高の結果が注目を集めていた。
同社にとっての朗報は、小売業の人気のバロメーターである客数が回復傾向にあることだ。ユニクロは今年2月以降、毎日買いやすい価格に商品を値下げするEDLP(エブリデイ・ロー・プライス)戦略に舵を切っている。その効果がじわり現れており、今2017年8月期に入ってから客数が3カ月連続で前年同月比を上回った。11月の感謝祭セールはその低価格路線の効果を確認するとともに、消費者への認知を高めるイベントとして重要な位置づけだった。
一昨年の水準には届かず
だが、柳井正ファーストリテイリング会長兼社長は、11月の数字に満足していないはずだ。ユニクロは昨年、主力商品を1割以上値上げした価格戦略の失敗と暖冬が重なり、11~12月の売り上げが大失速した。それが前期の3度に渡る下方修正と、大幅な減益決算の要因となった。
つまり、前年同期比7.3%増は一見高い数字に見えるが、前年のハードルが低いだけなのだ。実は一昨年の11月と比べると、まだその水準には届いていない。
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